今日の練習タスクは 2時間30分のATTと短め。天気の変化を考えての設定がされたようです。
Photo by OLYMPUS STYLUS1 |
グライダーには「水バラスト」というものを積んでいます。これは文字どおり水を重りとして搭載するのです。水は翼内と垂直尾翼内に入れることが出来ます。
これを行うと「翼面荷重」が大きくなります。これを行うと最良滑空比での巡航速度を上げることができる、つまりは軽い状態より重い状態の方が高速飛行に有利に働くのです。気象条件のよい日は最大まで積むことでより速く飛ぶことができます。気象条件がいまいち、の日は軽めにすることで上昇しやすくする、など戦略の要ともなるものなのです。
本日はこの水バラストの積み方をご紹介します。1枚目の写真はMARUの隣に駐機しているアイルランドチーム(双子のポールとスティーブ。兄弟で毎回出場。MARUのお友達)彼らも水バラストを翼に入れているところです。
方法は大きくわけると2つ。1つはポリタンに水をくみ、タンク容量から水量を計算して積み込む方法。もう一つはホースにフローメーター(水量計)をつけて、水道からそのまま機体に水を入れる方法。
ちょっとわかりにくいですが、こちらは水道から直接水を搭載しています。この方法だとグライダーを水道近くまで持っていく必要がありますが、ポリタンを用意することなく作業が出来ます。
中には自分の駐機場までホースを延長してしまっている強者もおります。
MARUチームはポリタンに水をくんできて水バラストを搭載しています。1つのポリタンに25L。かなりの重さなのでクルマに積んで運びます。
ポリタンの中に水を吸い出すためのモーターをいれて機体に水を送り込みます。
機体の翼に水を入れる口があり、ここから入れていきます。
今日は最大重量にするため片翼80Lつみます。
水バラストを入れる間もクルーは空のチェックを欠かしません。空は青く、日差し強く、気温は30度近くまであがります。風があるので暑さはそこまで感じませんが日差しは「痛い」状況です。
準備完了。いざ、出陣!
グリッド場所(発航場所)に向かったのですが、ちょっと出遅れてしまったらしく「グライダー渋滞」にはまってしまいました...
それにしても長い列。
やっと到着。雲がどんどん増えてきました。予報通り雨が降るのでしょうか?
今日はグライダーの重量計測があるので早めに帰ってくる予定です。
このあと12:40に離陸していきました。
14:30ごろ、サンダーストーム到来!
15:00にはあがっていましたが、その後も降ったり止んだり。
黒いもやっとしたところは雨が降っています。すでに帰着しているグライダーもありますが、MARUは大丈夫だったのか??
このあと、16時ごろ帰ってきました。
雨の中も飛んだのだそうです。(前が見えなくなるほどだったそうです)
今日はこのあと Technical inspectionを受けるため、再度水バラストを搭載します。
あれ、さっき水バラスト積んでなかった?と思いますよね。実は水バラストは着陸前にすべて放出してしまうのです。水を積んだままだと機体重量が重く、着陸が難しい&グライダーを壊してしまう可能性があるので、着陸前に水を放出して機体重量を軽くするのです。
この水バラストを放出しながら帰ってくるグライダーの姿はかなり圧巻。後日、河村広報リーダーの写真でご紹介させて頂きますのでお楽しみに!
このTechnical inspectionはグライダーの重量チェック(翼面荷重をあげるためにズルをしていないか)やグライダーの設定が大会ルール通りになっているかを確認するものです。
この作業中、雨がまたまた降ってきました。まずはターポリン(グライダーのカバー)をかけることに。
ここでモンベル提供のアウターが早速大活躍。多少の雨なら本当にへっちゃらです。そして雨の通過とともに先ほども真夏の気温がウソのように肌寒い気温となってきました。夏のヨーロッパにアウターは必携ですね。
体重計にグライダーを乗せて、水バラストを最大に積んだ状態で規定の重さの範囲内か確認します。
パイロットの体重、装備品も重量に入るのでことこまかに計量されます。
こちらはパイロットの計量中。重量は...「ヒ・ミ・ツ」ということですが、世界のパイロットの中では「小柄」です。
今日計測した重量を今大会中の最大重量とし、大会中は毎日この重さを超えていないか、チェックが入ります。この様子もまたご紹介いたします。
重量測定のあとは大会規定に準拠した状態かのチェック。
グライダーに関する書類の不備がないか、コンテストNo(尾翼にある70の文字)が両側に入っているか、翼面下に機体登録番号(D-KATV)がかかれているか、禁止装備品をつけていないか(人口水平儀、雲中飛行の道具)、安全のための装置をつけているか(Flarm) など質問を受けています。
質問しているのはシルビア(maru の FB 友達)。
昨年のヨーロッパ選手権でも大会運営のサポートをしてくれていました。今回も運営側として活躍中。各地の大会で彼女はスタッフとして活躍している様で、ポーランドの若者パイロット達はこのように大会スタッフとして各地で活躍している若者が多数居るので、大会に行くたびに「また会ったね!」と挨拶をしています。
無事Technical inspectionが終了。
駐機場所にもどって本日の大会準備は終了です。写真はグライダーを駐機場に戻すところ。グライダーをつけたまま、クルマをバックさせて駐機させています。私の位置にグライダーの胴体をあわせるよう誘導中。幅18mのグライダーを20m以内のスペースに入れ込むため、テクニックが必要です。
現在19:00。天気よく見えますが、明日は雨予報。
本当に降るのかな?と思ってしまうほど晴れた夕方でした。
赤石
機体の重心位置は許容範囲内のどの辺りで飛ばれているのでしょうか?
返信削除Yasui-さん、機体によって異なりますが、ASG29の場合、flight manual から 290-310mm のところに
返信削除セットすることが推奨されています。