2024/03/24

2022年春トレーニング(ハンガリー、チェコ)

 2022年は夏のハンガリーでの世界選手権に向けて、春の連休から5月はハンガリーとチェコの競技会でトレーニングを行いました。

目標設定

  1. 競技会で使用するJS3でのフライト感覚のインプット
  2. JS3の地上オペレーションの再確認、体に染みこませる
  3. その他


結果

1.競技会で使用するJS3でのフライト感覚のインプット

2019年以来、3年ぶりのフライトになりました。2019年からJS3に乗り始めて、2019年は最後の2日間でようやくJS3の乗り方が分かってきた印象がありました。あの感覚を3年ぶりに再現できるのか、幻だったのか、3年飛べていないと正直自身が無かったのですが、ハンガリーでの最初の2日間のフライトで、他のパイロットと同じようにスピードコンディションで飛べる(クライム、クルーズ)ことがわかり、安心しました。スピードコンディションはスタートを通常通りに出来ればそれなりに飛べると思います。


2.JS3の地上オペレーションの再確認(体に染みこませる)

連休渡航前にチェックリストとマニュアルを再確認して、手順をシミュレートしたうえで地上オペレーションを行いました。春のトレーニングはクルー無しで一人で渡航でしたので、一人で漏れ抜けなくできるようにしています。帰国後にチェックリストとマニュアルをさらにブラッシュアップして、夏の本戦でクルーが使えるようにしました。


3.その他

・スピードコンディションで同じように飛べることは再確認できましたが、コンディション急変時のブレーキのかけ方(ギアチェンジ)に対応できませんでした。突然覆われてしまうようなコンディションの場合も、他のパイロットは判断の変更が早いのですが、「2000mもあれば飛び抜けて次のエリアで探せるだろう」と安易に飛んでしまった場合がありました。人の考え方として、楽観バイアスは働きがちで、悲観的に考えがちな私でも、楽観バイアスが働いて失敗したケースがあります(2016年チェコday2


・過度の緊張から変な汗をかくのが減ってきた気がします。おかげであわててしまうことは減った気がします。(逆に上記のように以前より楽観的に捉えるようになったのかも。。)男性更年期が終わって、ホルモンバランスが変わってきたのかしら。。

・ハンガリーでは途中から暑くなり、バグの増えたコンディションで、新しくなったバグワイパーの使い方が分からず、バグワイパーが動かないとクライムもクルーズも遅れてしまうとどうしようもないところがあり、ハンガリーの最終日は他の機体に追いつけないことが発生しました。とはいえ、バグワイパーの問題を事前に明確に出来、対処できたのは良かったと捉えています

・連休のハンガリーの大会の後、2週間をオーストリアで滞在、時差リモートワークさせて頂きました。2014年の世界選手権、2018年の世界選手権の際も5月に二つの競技会で練習をしたのですが、当時は競技会の間の期間は一時帰国していました。もう若くないので移動は疲れることと、多様な働き方をさせて頂いている勤務先のおかげでリモートワークで帰国せずに過ごすことが出来ました。機体、車両の細かい要修正点も機体オーナーさんと直すことが出来、夏に向けての準備を進めることが出来ました。

・5月末はチェコ選手権で1週間練習させて頂きました。初めての滑空場でしたが、チェコの空自体は慣れていたのと、現地のクラブの友人のサポートが得られることからこちらで練習させて頂くことにしました。競技会自体は2週間ですが、休暇日程が限られていますので、1週間だけの滞在となりました。残念ながら天候に恵まれず、練習日1日、競技2日のフライトになりましたが、練習日は練習目的を明確にできた(湿った強風下で、利用できるハンドが狭く、盛衰サイクルが早いクラウドストリートを繰り返し練習する)ことで、ストリートの盛衰サイクルの兆候を理解し、トリッキーな変わりやすい空でのリスクマネジメントの練習が出来ました。競技中は毎日重心位置設定を少しづつ変えてみることとで、飛びやすい範囲を探しながらフライトしました。風が強く、トリッキーなコンディションで、チャレンジの難しい条件が続いたので、チャレンジしたい気持ちを抑えて、リスクマネジメントでガグルをフォロー、ガグルを乗り換えることが、うまく行ったと思います。


・コンディションが低下して水を積極的に抜く状況への対応は出来ていなかったと思います。2021 Lezno Cup でも同じことがありました。切り替えへの対応



2024/3/16 ブルーウエーブで猪苗代湖まで

猪苗代湖 右端は磐梯山と猪苗代スキー場 奥は朝日岳連邦(山形県と新潟県の県境)

2024/3/16 ブルーウエーブで猪苗代湖まで往復しました。

WeGlide

OLC

ブルーの予測でしたので、当日朝にOudie2 をパソコンにUSBケーブルで接続して、  Naviter Updater で最新のSkySightの WeatherレイヤーをOudie2 にダウンロードします。今時USBでローカルダウンロード?と思いますが、この手間がこの日のフライトの決め手になりました。



前日の谷が通過して弱い冬型

700hpa 320度 60kt 予報通りちょっと北より

板倉のすぐ西に南北のコンバージェンス予報

上層風が北寄りなので、いつもよりwaveが東西に傾いている。
板倉近辺は良いwaveは発生しない予報なので、
コンバージェンスで日光まで行ってから、waveに入れたらラッキー、くらいのフライトプラン


離陸前のアメダス。桐生、熊谷は北西、館林、佐野は北東。
館林市街地の奥か、足利の山沿いへの曳航をプラン

先に離陸した40DGが城沼の北でコンバージェンスに入れたレポートがあり、館林方向への曳航をプランしたが、佐野市街地が良かったので佐野に戻って離脱。SkySightの予報通りでした。

予報の少し東側でコンバージェンスでクライム。
完全なブルーで、上がった後のルートプランが決められず、
とりあえず北と西を試してみる

地表風の境目がコンバージェンスの境目



wave予測では全く強くなかった赤城の第3波で何故か17,000ftまでwave。
視程の境目を探して最初に上がった佐野のコンバージェンスから西に5kmくらいでたところで強いプラス、8,000ftくらいからスムーズになってwaveイン。

完全にブルー ここまでブルーなwaveは初めて。
Area-H よりもずいぶん南で上がってしまったので、東京コントロール124.1にコンタクト。とりあえず50 mile北上の意思を伝えたところ、Area-Hのことを言われて、自衛隊からクリアランスを得ていることを伝えたところ、スタンバイしたので、自衛隊に確認してくれていたみたい。

12:30 頃は SeeYou Navigator の weather layer も表示されていた。
これはwaveではなく、コンバージェンスの予報。
(この後、電波が圏外になると、weather layer が表示されなくなる。オフライン表示に対応していないたため)


13:00 17,000ftまで1-1.3m/sくらいのゆっくりしたwaveで上がって、上がらなくなったので前に出る。上昇対から少し北上して沈下をずらして移動してみた

13:30 第2波に13,000ftで到着、4,000ft失高。第2波は沈下は少ないのだけどあまり上がるところが無い。
ブルーで目印も無いので左右180度を試してみて、500ftだけあげて第1波へ移動


第1波到着 13,500ftから10,000ftで3,500ft失高。waveが強くない分、沈下も強くないので、wave間を渡れる。ここで40DGは良いのをつかんで19,000ftへ。私は良いのがつかめなくて、12,500ftでwaveラインをたどる

赤城の第1波での上昇中。Oudie2 にダウンロードしたSkySightの予報は表示されているが、SeeYou Navigator は風向風速の矢羽根は見えるが、waveレイヤーが表示されなくなった。
以降はOudie2をメインに、Oudie2 を信じて飛ぶことに。
沼田の谷から穂高山、奥は尾瀬 猫耳の山が燧ヶ岳(ひうちがたけ)




14:00 先行した40DGがSkyLines.aero のトラッキングにも表示されなくなった。赤城で14,500ftしか取れず、Oudie2のwave表示を信じて飛ぶ。赤城~皇海山~日光白根山のラインで中禅寺湖の西縁へ。
見直してみると、Oudie2では真っ赤(強い上昇帯)で表示されているけど、そこまで強いwaveとは予報されていないぞ。。
日光白根山のラインで上昇中。中禅寺湖と男体山


40DGは20,000ft弱とれているので、中禅寺湖からいつものルートで高原山~那須のwaveラインへ。10,000ft失高で那須に到着
私は赤城で高度が取れてないので、SkySightを信じてwaveラインをトレース、12,000ftで日光白根山に届いてゆっくり上昇開始。ここも良いところで1.6m/sくらいで、平均すると1.1m/sくらい?Oudie2の表示ほど強くないことが分かったので、上がれるところで上がらなくなるまで上がる戦略に変更。
このあたりから40DGも東京コントロールに移ってきたので、東京コントロールに意思確認されたときは「40DGと同じ高度、ルート」と回答
裏男体山飛行中 奥が尾瀬ヶ原、尾瀬沼と燧ヶ岳、手前が丸沼と菅沼

裏高原山 スキー場はハンターマウンテンとエーデルワイス


14:30 19,500 ft で裏男体~裏高原をすすむ。日光白根山から北に続く山脈から発生していると思われる弱いwaveラインのなかを丁寧に進む。途中ちょっとでも気を抜くとTrkが流されるので、Trk < 30以下をキープしてヘディングを調整。
上昇帯の最後まで北上し、20km風下のwave上昇帯への移動を慎重に検討。那須にいる40DGがトラッキングで見えた。テールウインド100km/hなので、間の沈下も飛び抜けられるだろうと判断して、那須のwaveへダウンウインドダッシュ。
1,000ft失高で17,000ftで茶臼岳waveへ


15:00 もう少し時間が許すところまで北上することに。2019年の蔵王往復で最後板倉に届かず鬼怒川滑空場に降りたことの反省から、帰投時間を計算、安達太良山までは続いているからいけるなー、と思いながら、150kmの帰り道なので、15:15にはターンすることに。
那須を過ぎると猪苗代湖が見えてくる。あいかわらずのブルーコンディション
Oudie2 と SkySightを信じてwaveラインを飛ぶ
ここでターン



15:30 ターン後の帰り道。帰り道は那須のwaveも弱くなっていました。ローターのような目印が無いので、気を抜くと風下に流されます、Trk < 210 をキープ。流されたら元のルートに戻しました。高原山まではwaveラインをなるべくつないで落とさないように慎重に帰りました。

黒磯のアウトランディング場


16:30 無事ランディング

振り返り
  • waveを渡り歩けたのは久しぶりで面白かった。リフトも弱い分、沈下も弱かったため。
  • ブルーウエーブは初めて、こんなに弱いwaveでの渡り歩きも初めて。SkySight + Oudie2 のおかげです。はやくSeeYou Navigator もオフラインモードに対応してほしい
  • ちょっとでも気が緩むとTrkが流される。


2024/03/23

SeeYou Navigator でのオンライントラッキング、PureTrack で OGN 機器と ADS-Bトラフィックもまとめて表示

2017年に「XCSoar 、Skylines.aeroでトラッキング」でXCSoar と Skylines.aero を組み合わせたXCSoar上でのオンライントラッキングを紹介しました。SkyLines.aero でアカウントを作成して、Tracking Key を XCSoar で登録して、と手順が少し複雑だったかもしれないのと、Androidのみの対応でした。

SeeYou Navigator ですと、iPhone、Androidで利用可能で、ボタン一つで OGN を利用したトラッキングが可能になり、SeeYou Navigator 上にOGN対応機器の表示が可能になります。

SeeYou Navigator

Menu → Map & Layers → Maps and Layers → OGN を選択


OGN をオンにしている場合、OGNに対応したデバイス(SeeYou Navigator、Glide and Seek 等)での表示が可能になります。
自分(大きな矢印)の右下に小さくグライダーのマークと「894m」と表示されているのがおそらく 22MX


2024/01/02

2024年のチャレンジ


あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

2024年シーズンのトレーニングについては現在プラン中です。5月連休にハンガリーで毎年参加しているローカルコンペでシーズン初めの練習に行く予定です。その後、ポーランドかチェコの大会で練習をプランしています。

以下にしました

2024/4/28~2024/5/4 Alfold Cup(Hungary, Szeged)

2024/6/29~2024/7/6 Poland Nationals Open Class(Poland、Czestochowa)

2024/8/3~2024/8/17 European Gliding Championship 15m class(Czech Republic, Tabor)

2023年のポーランドでのヨーロッパ選手権は、後半調子が上がってきた最終日に突っ込みすぎて下げてしまい、アウトランディング扱いで大失敗になりました。上達は感じている中で、結果もまとめることの難しさを感じています。チャレンジと結果をバランス出来ることを目指したいと思います。

本年もよろしくお願いします。

2024年元旦
TEAM MARU パイロット
丸山 毅


2023/08/20

2023年グライダーヨーロッパ選手権大会(Leszno) 番外編:ポーランド航空博物館@クラクフ(Kraków)

 クルーの市岡です。

閉会式後はポーランド南部クラクフ(Kraków)にあるポーランド航空博物館へ行きました。
クラクフまではレシュノから南東へ車で約4時間。博物館からワルシャワショパン空港まで北へ約3時間です。11時に出て15時に着いて17時の閉館時間まで2時間見学して17時に出れば20時に空港に着いて22時50分の飛行機には乗れると言うあまり余裕の無い計画でした。


レシュノを出発。
パイロットとグライダーとは高速道路でお別れ。
現地集合現地解散です。

レシュノからクラクフまで約4時間。(その時の画像ではありません)

1回目の料金所渋滞。
右側青いゲートは有人です。壁にカードをタッチするとレシートをくれます。
左のレーンを進んだ車が右のレーンに入ろうと割り込んできます。それで左のレーンを普通に通りたい?車も詰まります。

ワルシャワ空港からレシュノに行く時も料金所はありましたが渋滞はしていませんでした。
チェコもハンガリーも料金所を通った記憶はありません。
8レーンもあるのになかなか進みません。

2回目の料金所渋滞。
15時に着く予定が16時過ぎに…。

レシュノからクラクフまでの道がこんなに混んでいたので帰りの道が心配。
高速道路を降りたら帰りの所用時間、渋滞をチェック。ギリギリなので最悪博物館には寄らず帰る必要があったかもしれません。
大丈夫そうなので向かいました。 進むか戻るかグライディングみたいですね。
ワルシャワまでのルート(画像はその時のものではありません)

到着しました。
細い道を上がり駐車場に車を停めました。無料です。
チケット。入館料は27ズロチ 1000円くらい。
もうすぐ16時半なので受付の方からは、あと30分くらいしか見れないけど大丈夫?と。

急いでいたので③のメインハンガーは見損ねていました…。
入れそうな感じには見えなかったので見落としました。

MIKOJAN MIG-21MFとありました。

日本では見ることのない機体をたくさん見ることができました。行って良かったです。

駆け足で博物館を見学して空港へ向かいます。途中高速道路が建設中なのか下道も通りました。
給油。
その先のガソリンスタンドには戦闘機が置かれていました。

ガソリンを入れたらレジで番号を伝え清算します。
無事空港へ到着しました。 8時間も運転していましたがそんなに長かった気はしません。
レンタカーを返す駐車場への入り口が分かりづらく何周かしてしまいました。 入ったら空いているEuropcarの駐車スペースへ。 車の確認はなく空港のカウンターで鍵を返してサインをして返却終了。
ガソリンスタンド、コンビニどこでも売ってるホットドッグを買ってみました。 気にはなっていましたが食べた事はなかったです。温かいものは美味しいですね。
そしてポーランドを後にしました。

(文・写真 市岡)