昨日はトップが1000点ですから得点率は80.3パーセント。
まずまずの出来でした。
でも、満足のいく結果ではないようです。
まず、第三レグで適切では無いルートを選択してしまったこと。
第二旋回点を回ったあと、チェコチームと一緒に飛んでタスクルートよりも南側を選んだものの、そこは上がりもさほどよくなく、結局彼はグループを離脱して北上しています。
ここが無駄だったと。
2点目はグライドの課題です。
グライダーは基本、上昇気流の中で旋回しながら高度を得ては前に飛び、また上昇気流を捕まえては前に飛び、ということを繰り返して距離を稼ぎます。
グライドとは、この上昇気流間の巡航のことを指します。
そして上昇気流で高度を稼いでいる間を「クライム」と呼びます。
丸山は3年前、グライドとクライムの両方に課題を抱えていました。どちらも、各国の代表が集うヨーロッパ選手権や世界選手権では、トップのレベルから明確に差があったのです。
ところが、ここ3年ほどのヨーロッパ遠征とヨーロッパトレーニングで、クライムについてはライバルのレベルに近づいてきました。
そこで、さらに浮き彫りになってくるのが「グライド」です。
グライド中は、ただ真っ直ぐ飛べばいいワケではなく、可能な限り高度を落とさないルート選びと速度選択が必要です。
地形や雲など目に見える要因を分析、予測し、コースを決めたら、今度は下降気流を避け、あるいは下降気流はスピードを出して素早く抜け、上昇気流のあるエリアではフッとノーズを上げて真っ直ぐ飛びながら高度を獲得するように飛ぶのだそうです。
ノーズを上げたり下げたりしながら、速度を変えながら飛ぶ様が、イルカが海面近くを泳ぐ姿に似ていることから「ドルフィン」と呼ばれています。
Kawa選手を始めとするトップ10の選手達は、このグライドのスキルが信じられないほど、丸山曰く「理解できないほど」高いそうです。
「彼らは基本、回らない。回ったと思ったらあっという間に上昇気流のコアを掴み、あれよあれよという間に高度を稼いでいくんだ」
そんな話をされると、僕も、その神がかったグライドを、この目で見たくなってきます。
で、丸山は自分のグライド能力が、まだヨーロッパの多くの選手より劣っていることを自覚しているワケです。
ですから、「Kawa選手がスタートした! じゃあついてくぞ!」という先方が通用しないワケです。
そこで丸山は、アーリースタートして行けるとこまで行き、グライドで追いついてくる第1、第2集団に飲み込まれながら、彼らとクライムしつつ、結果を残す、という戦法を採ったワケです。
それが、昨日はうまく機能しました。
というか、第1レグを越え、第2レグのドナウを越えても誰も丸山に追いついてこなかったようです。
つまり、丸山のグライドも以前より良くなってきているのです。(パイロット注:スタートが早すぎただけとも言います(笑))
彼なりにそんなタクティクスを立て、きのうは得点率80%をキープすることができました。
いい感じではあるのです。
「グライド」は本当に奥が深いそうです。
もしかしたら、日本には競技のための「グライド」の最新のテクニックがわかりやすく明文化されたものがないかもしれませんね。
丸山は、まさにその最新のテクニックが駆使される競技で揉まれているわけです。
日本のためには、もっともっと、揉まれて帰ってもらわねばなりません。
そして、今日はなんと、550kmのタスクが組まれました。
彼はゴルフに例えて「パーファイブのタスクが組まれた!」
とニコニコしながら、今、ご飯を食べています。
発航開始も11時半。
もう30分しか時間がありません。
ごめんなさい、タスクの解説をしているヒマがないかもしれませんので、みなさん、以下のサイトからタスクを読み取ってください。
がんばれまる!
佐々木式クラス混合タスクマップです。
発航開始は11時45分で決定。
18mクラスのタスク距離はなんと…
558.51キロです。
直線で、東京から岡山を遙かに越える距離です。
がんばれ丸山!
出撃します!
※20mクラスのタスクがターンポイントのエラーか何かで正しく欠けなかったので、18m と オープンのみ表示します。
丸山、07分スタート。
今日もアーリースタートで先行する作戦です。
詳しくはふたつ前の投稿をどうぞ。
がんばれまる!
丸山RIの現在位置 / Takeshi's current position.
Spot:http://bit.ly/1LezAlX
Live glidernet:http://bit.ly/1fTUcES
衛星写真 / Satellite photo
http://bit.ly/1MhKYiP
アメダス / Rainfall Data
http://bit.ly/1RGsAUl
ウーチェニー滑空場周辺の気象情報
Weather information of Ocseny Airfield
http://bit.ly/1feBaZ1
丸山、今日もアーリースタート。
恐らく、フライトレーダー24で、西南に先行している一団の中と思われる。
※フライトレーダーでは丸山の機体は表示されない。
18mクラスのスタートライン(10kmのライン)はセクサールドの町の南西あたりです。タスクマップと比べてください。
丸山はほかの2機と行動を共にしているようです。
今日も攻めます!
丸山、順調に第1旋回点に向かっています。
そう、今日は旋回点が「点」の単純なレーシングタスクです。
もともと飛んでるグライダーが10kmとか20kmといった距離間で相手の位置を知るためのものなのです。
この情報がおよそ40km近く離れた滑空場に届くこと自体が驚きなのですが、機体によって個体差もあるようで(あってはいけないと思うのですが…)、丸山の機体の情報は割とすぐ、滑空場から10kmほど離れると消えてしまいます。
といわけで、皆さんも見ていて、ついたり消えたり、40km以上遠くになったら表示されなくなったり、そうかと思えば100kmくらい離れた滑空場のまわりだけ表示されたり…、なんやこれワケワカラン!と感じていることと思われますが、地上班もその状態です。
あくまで、参考程度に、という話です。
あ、丸山、いい感じで第1旋回点に向かってますね。
このまま、レイトスタートの機体を置いてきぼりにしてもどってこーい!
ここで、スタートにまつわり話をひとつ。
競技会では、同じクラスが全機離陸した20分後にスタートゲートが開きます。無線でも「○時○○分、18mクラス、スタートゲート・オープン」とコールが入ります。
で、その後どうやってスタートするか、というお話です。
空の上には、クラスごとに仮想のスタートラインが引いてあります。10kmの長さです。
このラインを、パイロット各々のタイミングでまたいで行けば、いいだけです。高度制限はありませんし、現代は競技中の軌跡がGPSログデータとして残るので、自機のスタートをオーガナイザーに無線でコールする必要もありません。しれっと出発していいのです。
そしてそのタイミングです。
今日のタスクを例にしますと、558kmを平均110kmの速度で飛ぶと仮定しましょう。そうすると約5時間かかるワケです。
この5時間を、最も上空の条件がいい時、つまりバリバリに上昇気流がある時間帯にぶつけて、最も速い平均速度を出したものが勝者となるワケです。
で…
みなさんお気づきと思いますが、今日もアーリースタートを切った丸山に対し、多くのコンペティターは滑走路近くでまだ様子見していますね? 彼らはバリバリに条件のいい4〜5時間を待っているワケです。
でも、そろそろ2時です。4時間でかえってきても18時です。
「お前、そろそろ出発しろよ」
「いやいや、お前こそそろそろ行けよ。ついてってやるから」
「うーん、俺の上にいるあいつはトップ10の猛者だよなあ。あいつ、まだ出ないのかなあ…」
「もうガマンならん、行く!」
あるいは
「今こそ勝機!」
とばかりにスタートラインをまたいでいくのです。
スタートは競技の命といっても過言ではありません。
さあ、アーリースタートを切った丸山の今日の結果は果たしてどうなるのか?
丸山は、今日も攻めています。
そしてこの行動は、丸山が自分のグライド能力を冷静に考えた結果の戦略です。それでも、僕らは夢を託すのです。
彼にはもう、失うものがないはず。
いいよ! その調子。
がんばれ丸山!
丸山から無線。
M:だいちゃん聞こえる?
D:聞こえるよ。
M:順調です。
D:トップグループでしょ!
M:トップグループっていうか(笑)前に誰もいないんだよね
※この競技は一番前を飛んでいるからといってトップではないのです
M:みんなスタート遅いみたいでさ。
D:ハッキリ言うけど、みんな遅いよ。
M:550km大丈夫なのかな? って心配になっちゃう
M:このまま先行逃げ切りで行きます
D:がんばって!
今日は、ビッグ・デイです。競技のデイ・オブ・デイです。
現在、18mクラス総合2位の世界チャンプ、Kawaさんが虎視眈々と逆転を狙っているのは間違いありません。
その彼が、満を持して出発したのは何時なのでしょう?
そして、どのくらいの平均時速で帰ってくるのでしょう?
そんな中、丸山は先行逃げ切りを狙います。
でも、先駆者は自分でサーマルを見つけ、自分でコース取りをしなければならないのも事実。
丸山が選んだ時間帯が、最もバリバリな条件であることを祈って、地上班もサポートを続けます。
丸山から無線。
M:予定通り、後ろから来たガグルに飲み込まれました。
D:こちらもインサイトしてるよ。
M:このまま彼らと行動を共にします
D:がんばって!
それより北側、さらに東に先行するグループは他のクラスです。
他のタスクをご確認ください。
まだ、丸山は18mクラスの先頭にいます。
しばらく、この集団をウォッチしましょう。
丸山の、今日のタスクです。
558キロは東京駅から岡山までの直線距離です。
新幹線を使ったら3時間45分だそうですが、
クルマで5時間でいくのは難しいですね。
たくさんの燃料も必要です。
これを動力なしに移動してしまうグライダーって、
いやそれ以上に、
この距離を4〜5時間で飛ぶトップパイロット達って…
あらためて、すごいなぁと思います。
さあ、丸山が僕らの無線の届かないところへ行ってしまいました。もどってくるまで、しばらく木陰へ行きます。
無線を設置したテントの中は現在35.5度。
大分、暑さに強くなりました。
本日のダイジェスト。
18mクラス発航開始。
発航するまで空を見続ける丸山。
雲や風、ガグルの位置をチェックします。
そばにはいつもバンバさんが。
丸山の順番です。
暑さ避けのためにかけていたキャノピーカバーも外します。
曳航機の曳航索がセットされ、いよいよ出発。
翼端はもちろんガボールです。
発航していく丸山機。
コンテストナンバー RI。
これは機体のオーナーRichardさんの名から来ています。
無線での呼び方は「ロメオ・インディア」。
http://www.geocities.jp/ja6ikd/yougo.htm
ポーランドが誇る世界チャンピオン
Kawa 選手の機体も続いて出発。
気がつけば18mクラス総合2位につけています。
今大会はチームでフォーメーションを組んで飛ぶのが難しいらしく、単独行動が多いです。当然、チームとしてのパフォーマンスは落ちるはず。Kawa選手の成績にも影響を落としているはずで、確かに去年の世界大会のようにズバ抜けた成績を残す日はあまりありません。それでも安定して強いです。
さて、今日はどんなリザルトを残すのか?
18mクラスの機体の詳解をいたしましょう。
まず、Ventus 2 CXT
2Y はベルギーチームの Tijl Schmelzer 選手
AYはイタリアチームの Alberto Pozzi 選手ですね。
おかえり!
昨日の写真とうりふたつ。丸はいつも安全な高度で同じコースで帰ってくる。
18mクラス Daily 13位相当/32機 Total 21位相当/32機
河村
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https://www.facebook.com/TeamMaru