2014/05/30

大空の楽しさを若者に伝えたい! アラフォーパイロットの世界挑戦

ポーランドナショナル大会に参戦した丸山(撮影:OLYMPUS STYLUS 1)

みはさんこんにちは。TEAM MARU 広報班です。

実は5月30日夜11時より 今夏の丸山の世界挑戦を支援する「クラウドファンディング」をスタートさせました。

クラウドファンディングとは、インターネットを介して不特定多数の個人から支援金を集めるサービスのことです。サイト運営側はネット上のスペースを提供し、目的を持った人がそこに募金プロジェクトを発表する。そしてプロジェクトが成功すれば支援者からの募金が行われ、サイト側にも手数料が支払われる、というしくみです。

私たちは国内にいくつかあるクラウドファンディングのサービスを実際に訪問、リサーチして検討した結果、最も歴史のある『READY FOR?を選びました。

そして今回立ち上げたプロジェクトがこちらです↓


右横に「引換券」というやや耳慣れぬ言葉が見つかると思いますが、これは支援してくださった方へのささやかな御礼 を意味しています。
紙の券が実際に配られるわけではありません。

ではどうしたらクラウドファンディングが成立するのか、
全体の流れはこんな感じになります。

まず最初に
「私は○○円の引換券で応援します!」と手を挙げてくださる方を募集します。
引換券は支援額に応じて3種類ございますのでぜひご一読ください。

引換券の申し込みをするとクレジットカード情報を入力することになります。
でもこの時点で振込がおこなわれるわけではありません。

募集期間は1か月です。6月29日の午後11時に終了します。

この間に目標金額に達するとその プロジェクトが成立 します。
成立すると、申し込みいただいた額面に応じてクレジットの決済が行われます。

私たちの場合、100万円からクラウドファンディングの手数料17%を引いた
87万円 がいただけるようになります。

そして支援してくださったみなさんには
「引換券」という名の 我々からの御礼 が届けられるようになります。

反対に目標金額に満たなかった場合には
プロジェクトそのものがなかったことになります。
お支払い 引換券のお届け も 一切行われません

今回は 7月19日 から遠征が始まる世界選手権に向け、
事前にお礼状やステッカーなどをお送りしたいがために
他のプロジェクトに比べ短い募集期間といたしました。

でも、ポーランドで行われる ワールドグライディングチャンピオンシップ に向け、皆さんと一緒に大きな花火を打ち上げたい。そして何よりもこの成功を、後に続く若いパイロットの皆さんへの道程としたい、という強い気持ちには変わりありません。

このブログの以前からのファンの方はもちろん、
今回ご支援いただける皆様と一緒に
この6月のクラウドファンディングを、
そして7月から始まる世界大会そのものを楽しんで行けたらな、と考えております。

どうかぜひプロジェクトのストーリーをご一読ください。

そこには1年前のチーム結成まで
私自身あまり知ることのなかった丸山の想いを織り込んでいます。

それは、皆さんが知っている丸山とまたひと味違った素顔かも知れません。

最後になりますが、
より多くの方にこの情報をお伝えいただけますと助かります。

より多くの人にグライダーを知っていただくこと、
それこそが チームの目標 だからです。

よろしくお願い申し上げます(河村)



2014/05/28

一ヶ月間限定のプロジェクトが始動します

大会中フェイスブックに投稿された写真。1000ビューを超え、100以上の「いいね」をいただきました。

広報班です。

大会中はたくさんのご声援をいただき、本当にありがとうございました。

ポーランド大会のデイリーの得点の推移
丸山は初日こそつまづきましたがその後順調に得点を重ねて行きましたね(グラフの最終日は1000点満点に換算してあります)。3日目も「あと50m上がっていればゴールできた」という悔しい状況だったようですが、それを後半のバネにできたのではないかと思います。

これにて夏にポーランドで行われる「グライダー世界選手権」に向け、3年がかりで行ってきたヨーロッパ遠征がひと区切りとなりました。


デイリー順位と総合順位の推移
今大会の順位をグラフ化してみますと、3日目から尻上がりに調子を上げ、6日目の最終日で気持ち良くフィニッシュしていった様子がわかります。

ゲスト参戦なので本来順位はつかないのですが、最終日は難しいコンディションの中、10位相当の結果を残しました。

とても丸山らしいトライだったんじゃないかと思います。


ポーランドチャンピオンとの練習フライトを経て、何を得ることができたのか、何を実践することができたのか、また丸山の報告が楽しみになってきましたネ。

さて実は今日は、ブログ読者の皆さんに大切なお知らせがあります。

実はかねてよりチームとして クラウドファンディング を準備してきたのですが、そのサイトが 明日29日の夜より 『READY FOR ?』 のホームページから公開となります。

もちろん、丸山家の目標である世界選手権を支援しようというプロジェクトですが、一番の狙いは より多くの人にグライダーの魅力を知っていただき、そしてまた若い人が丸山の後に続けるような道筋を作って行きたい ということにあります。

詳しくはまた追ってご報告いたします。
今後の展開にご注目いただけましたら、と思います。

よろしくお願い申し上げます(広報班)

2014/05/25

ポーランド選手権 Day6(最終日)

今日もピカピカのいい天気!
最終日まで連続6日晴れました。そして風は昨日より強くなってます。
昨日、スタンダードクラスはなんと全員アウトランディング。(Gáborもアウトランディング回収を頼まれ100km先のMonicaを助けに行ってきました)そんな疲れも見せずみなさん朝の作業にいそしんでます。


今日のラインナップは先頭。ラインナップは公平性を保つため毎日入れ替わります。発航場所までGáborがグライダーを運びます。



今日は最終日。かつ、毎日気温があがっていることから地上の空気が上空に抜けにくくなっており、乾燥より雲が出来にくく、風が強い、という状況が重なり競技時間が短くなることが考えられます。気流の対流が始まる時間が遅くなりかつ全機ゴールしてもらわなければならない時間が通常より早い、ということです。



ということで、本日のタスクは2時間30分のAATタスク。ロングの日の半分の時間です。サーマルに当たればかなり高度を獲得することが出来、その分ストレートに速く飛べる時間が増えます。いいサーマルを雲の目印なしに探し当てられるか、がひとつのカギになりそう。


発航の準備待ちをしていたとき、MaruにAndyが話しかけてきました。彼は車いすパイロットなのですが、この前初めて初ソロに出たそうです。ブリーフィングの場でも発表されていました。グライダーのラダー(方向舵)の操縦は通常足でペダルを押す方法で使用するのですが、足の代わりに手で操縦するハンドラダー仕様にしたグライダーがあり、彼はそれでトレーニングしていました。
OstrowでMaruのことを見かけていたらしく「I'm your fan」と言われ、ちょっと照れるMARU。


発航場所にきて、おにぎりランチを早めにすませ、発航待ち。予想通り気象条件が整わず発航待ちの時間が続きます。

曳航機も待ち


スタッフも待ち





MaruとGáborも待ち

のんびりした空気が一変。発航が始まります。最前列のため急いで準備。

直前に師匠も来てくれて本日のアドバイスをいただきました。本日も「セントカ師匠についていくこと」「最終日なので気を抜かない。集中する」を目標に出発。Go Go MARU!!

Day1と同じ場所から撮影。今日は雲がありません。
青い空と菜の花と草原。


発航完了が13時過ぎ。帰着は4時ごろかな。
地上は30℃を越えました。日差しがジリジリ痛い。パラソルの下は風が通り抜け過ごしやすい。



チェコからヘルプに来ていた曳航機2機があいさつして帰ります。ありがとう!

午後3時半をまわったころ、オープンクラスのグループが帰着しだしました。
MARUは?? 第一グループ、第二グループにいない模様。もしや一人旅になってしまった?
あ、帰ってきた。




「今日はがんばったと思う!スピードも出せたし。」 さて結果は?AATタスクの場合は早く帰ってきたからすごい、という訳ではないので結果が揃わないと順位は想像しづらいのです。



いつも以上にどんどんグライダーが帰ってくるので急いで駐機場に運ぶためクルマに連結。

そして最後の撤収作業。いつもよりきれいにしてハウストレーラーにしまいます。
まだ滑走路には降りたグライダーがいっぱい。Crewがいないので、各パイロット手が空くのを待つため混み合ったまま。








明日、Gáborがハンガリーまで7時間(500kmくらい)かけてハンガリーまで持ち帰ります。
ASG29 E、お世話になりました。
この時点では本日の結果、まだわからず。さてどうなった??

夜20時から閉会式&表彰式。

MARUはゲスト扱いなので順位なし、ですが参加証をいただきました。





本日の結果  総合順位

デイリーは最高位の10位!
総合は22位相当、健闘しました。

これにてポーランド選手権、無事閉幕。
あとはビールでのパーティ。

「で、このまま世界選手権までヨーロッパにいるの?」
「来年南アフリカで一緒に飛ばないか?」
「日本のグライダー環境ってどうなの?」など
いろんな人から声をかけられました。

明日帰国のため1時間ほどで引き上げましたがキャンプサイトの住人たちや若者達は夜遅くまで盛り上がったようです。

多くのメンバーとは2ヶ月後の世界選手権で再会予定。
See you again at Leszno !


TEMA MARUのポーランド選手権への挑戦は無事終了。いまはホッとした気持ちです。
事前に本番で使用する機体の慣熟飛行ができ、競技会での飛び方やルール、コンディショニングについて学べたことは大きな収穫でした。同時に強国ポーランドの層の厚さ、競技会で飛ぶことに対する考え方など影響も多く受けた大会となりました。

みなさま、応援ありがとうございました。
次は2ヶ月後の世界選手権本戦。また準備を始めます。
And "Thank you for your support Gábor! See you again at Leszno !"



赤石 (撮影:OLYMPUS STYLUS 1)

パイロットコメント

最終日 2時間30分 AAT のショートタスク。最終日は閉会式があるので、コンディションよりも短めのタスクを出すのがポーランド選手権の常です。ピーク時間帯を使い切ることを考えるとスタートは最大14:00まで待てる。競技時間が短いので、失敗するとリカバリーが効かないので、失敗は禁物の安全運転。連日の高気圧圏内が続くことで、空気はさらに乾燥し、積雲はできづらく、上層気温もあがり、トリガー温度もあがるので、トリガー時間は遅くなる。離陸前に Centka 先生は「今日は130km/h出すぞ」と。
積雲待ちで30分ほど1st launch が delay したが積雲が無いまま曳航開始。ブルーコンディションでの一列目の曳航なので、離脱後は森の中の空き地をトリガーに定め、風を意識して弱いところでリフトがわき上がってくるのを待ち、1.5m/s で丹念に2000mまで。ガグルの上に入り、2500mまであげてスタート。
40kmほどまったくあたらずに遠くに見えるストリートまでグライド。ストリートに入れば4m/sでかっ飛ばし。うまく遅れずにフィニッシュできました。

2014/05/24

ポーランド選手権 Day5

本日も雲一つない朝。
到着時の豪雨がウソのように晴天が続いています。
今日は昨日よりも風強し。風も計算にいれたレース展開が必要そうです。

こちらはブリーフィング前の様子。時間になると全選手が集まります。
毎日前日の優勝者の発表、気象情報、大会中の注意事項を伝える場。
前列にはベテラン勢が座り、後列には若手が座っていますね。

この大会、Maruの参加しているオープンクラスはポーランドナショナルで、国のNo.1を決める大会。そのためタスクも通常よりタフなものが設定される傾向にあるようです。Day3も「今日はオープンクラスは厳しい設定だね」と言ったら「ナショナルだからね。ちゃんと帰ってくるよ」と言われ実際にフィニッシュした選手が多数。(Maruはエンジン使ってしまった日です)日本でいうとフィギアスケートの日本代表選考と同じくらい世界的に見てレベルが高い大会のようです。この大会で順位がシングルになる人は世界選手権でもシングルになったことがある、もしくはなれる実力を持っていると考えられる、といえばこの大会のレベルの高さが伝わるでしょうか。

一方、スタンダードクラスは地方大会の扱いのため、若手の選手が多いです。が、その若手も侮れない。天才的なパイロットもいますし、若手女子も参戦しています。こちらもハイレベル。
そしてこちらの写真、サングラスをしている人はみな選手。右からパイロットのMarta(T4)、Maruの友達のJakub(D2)、Monikaの友人、パイロットの Monika(LC) 。全員20代前半、スタンダードクラスに出場しています。


この大会、ポーランド大会の特徴でもあるようなのですが、ほとんどの選手がCrewなしで参加してます。グループ参加しているチームもありますがメンバーはみな選手。基本的には朝の準備から片づけまで自分主体で作業。出発時の翼端持ちなど、1人ではまかないきれない部分は手の空いている人をつかまえて手伝ってもらう、という光景がしばしば。他のスポーツでいうと、ゴルフツアー戦にキャディなしで参加するようなもの。Crew無しの場合、金銭的な負担が少なく参加できる反面、トラブルが発生した時も自分で処理しなければならず、選手の負担は大きくなります。
女子パイロットもクルー無しで参加しています。一人で機体の準備して、テールドーリーは重たくて持ち上げられないので手伝ってつけてもらって、でも一人で参加してます。うーん、このたくましさはどこから来るのでしょう。ポーランドの強さの秘密はこういったところにあるのかもしれません。


スタンダードクラスの多くを占める「JANTAR」というグライダー。ポーランド製です。どっちを向いてもJANTARだらけ。Discusほどカタログの滑空比は良くありませんが、昨日もトップは平均速度127km/h です。フルバラストでかっ飛ばすとものすごい飛ぶそうです。


さて、話をオープンクラスにもどしますと、、、


今日は天気はよいけど上昇気流の発生が昨日よりも遅く、最初は5時間で出されていたAATタスクのタイム設定が4時間15分に短縮されました。とはいえど、500km近くの距離を飛ぶことになりそうな計算。

風も昨日より強く、またまたタフなレースになりそうです。

気象条件が揃うまで待機中。その時間を使ってMaruは早めのランチイム。
Maruの勝負メシ「おにぎり」を食べながら空を観察。今日はブルーコンディション(雲が少ない)のため、昨日までのように雲を目印に飛ぶだけでは上昇気流を見つけられず、知識・経験が問われるレースになりそう。


動きがあわただしくなりました。発航開始です。雲はそんなにはっきりしていませんが上昇気流は出てきたようです。

Maruも出発!今日も「あわてず」「深呼吸」を忘れずに。

今日のような青空が広がる日を「ブルーデイ(Blue Day)と呼んでいます。空気が乾燥し湿度が少ないため上昇気流の目印となる雲はほとんどないのですが、上昇気流はこの青空のどこかにあります。「サーマルが見えない日」です。
昨日とは気象条件が違っています。はたしてどう戦うのでしょうか?


午後3時をすぎ、気温は30℃に。でも湿度がないため日陰は涼しい。変わらず雲のない空。なかなかシビアな状況が続いています。

16時過ぎ。今日のタスクは滑空場上空を往復するタスクだったため、フィニッシュしていないけど滑空場に戻ってきたアウトランディング扱いのグライダーがちらほら。

17時15分ごろから少しづつフィニッシュしたオープンクラスのグライダーが帰ってきました。17時半すぎ、無線から「ロメオ・インディア(RI) テンケー(10km手前)」のコール。Maruが帰ってくるようです。さて、今日はエンジン使わずに帰ってこれたのか?各選手口々に「今日は難しかった」と言ってますけど。。。


開口一番「いやーつらかった。もうちょっといけると思ったんだけど、いまいちかな」

が、結果を見てみると思ったよりも好位置に!約半数がフィニッシュできなかったことを考えると今日の出来はよかったのでは。   本日の結果
昨日までぶっちぎりでトップを走ってたKarolが本日アウトランディングしてしまったことにより、誰が優勝するのかわからなくなってきました。

師匠との結果を見比べて今日の振り返りをしていたら、アウトランディングしたグライダーを迎えに行く人たちが続々と。
午後7時。いつもならみなグライダーを係留している場所がごらんのとおり、、、空っぽ。ほとんどがスタンダードクラスのようです。100km先にアウトランディングしてしまった人もいるらしく、荒れたレースになりました。

明日はいよいよ最終日。
天気は明日まで晴れ予報。有終の美を飾るべく、「深呼吸」してがんばるぞ!

赤石 (撮影:OLYMPUS STYLUS 1)

パイロットコメント

高気圧に覆われるのが続いてドライな空気に、高気圧も後面で次の谷が近づきつつあるので、風が強くなり、逆転層がそこかしこに有り、ブルーで風の強いときの特有なチョッピーで上がりづらいリフトになりました。強いところはストリートが出来るのですが、ストリートがなくなると次の雲まで40-50km のグライドを強いられます。スタンダードクラスはブルーを飛び越えられず全機アウトランディングになりました。オープンクラスも前日までトップを独走してきたKarol選手がアウトランディングの波乱。こういう日はとにかく一人になってリスクを背負ってはいけないのでガグルを利用してリスクマネージメント。スタートはKarol に fake start をかけられた後にCentka を発見できてタイミング良くリスタート。1st turn point で遅れてしまいましたが冷静に 2nd ガグルに合流。3rd leg で再度遅れますが冷静に3rd ガグルに合流、時にはガグルが上がってくるのを待って、遅れはしたものの冷静にフィニッシュしました。従来はガグルから遅れると頭に血が昇って低い高度で追いかけてしまい、失敗したケースが多かったのですが、とくに16:00から全面ブルーになってからは頭を切り換えて飛びました。でもラストクライムは緊張のあまり足がガクガクになりました。。

2014年5月ポーランド合宿総括

 2014/5/1 - 5/7 で世界選手権開催地のポーランド・レシュノで合宿をしてきました。一般のスポーツでしたらコーチがいて、選手がともにトレーニングするのが主流かと思います。が、マイナースポーツのグライダーにおいては、競技レベルを教えられるコーチを国内で探すのは難しい面があり、今までは個人練習をせざるを得ませんでした。今回、より大きなステップアップを目指してポーランド人コーチの方に同乗して頂いての練習をアレンジしました。

 ヨーロッパの冬のシーズンに最も気象条件が良い場所は最近はナミビアが流行っています。ナミビアのグライディングセンターにおいて、Flying with the Champion という「世界チャンピオンと同乗フライトトレーニング」が昨年から実施されています。「こんなところで一緒に練習してみたいなあ」と思っていて、ダメ元で「2014年5月のポーランド選手権の前後でレシュノでコーチしてもらえませんか?」とメールしてみたところ、スケジュールを調整すれば ok との返事を頂け、今回のトレーニング実施となりました。

 コーチをお願いさせて頂いた方は Janusz Centka 氏。元ポーランド航空のパイロットで過去3回世界チャンピオンになっています(1991年US、1993年スエーデン、2006年スエーデン)。64歳になりますが、グライダー最強国のポーランド国内ランキング一桁を常に維持。今年の世界選手権ポーランド代表で20mクラス、openクラスの2クラスでポーランド代表として競技に出場するエネルギッシュなパイロットです。Cetnka氏のフライトを初めて間近に見たのは2008年ドイツでの世界選手権でのフライトでした。同じ15mクラスに出場していた私はガグルの内側からゴボウ抜きでぶち抜いていく彼を見て思ったことは「摩訶不思議」。いったいどうやったらそんなことが安全にできるのか、いつかお手本にしてみたいと思っていたパイロットでした。2回目にフライトを見れたのは2012年のポーランドでのオープンクラスナショナル大会。2008年に見た彼の摩訶不思議を解明すべく、必死に追いかけてみて、少し秘密がわかったものの、これを毎日5-6時間維持し続けるのはとても難しいと思ったことを覚えています。

 今回はCentka氏のシンジケートで所有している ArcusM をお借りして同乗練習しました。春のヨーロッパはまだ天気は変わりやすく、7日間の練習期間を設定しましたがクロスカントリートレーニングができたのは3日間で、天候のイマイチな時は座学、ブリーフィングと目一杯時間を使ってのトレーニングができました。

コーチからの指摘事項
  • 空をみていない、見ている範囲がとても狭い。左右180度を見る
  • 雲をもっと観察する。spread out した雲の下にできている新しい積雲をおいかける。spread out しかけている雲は沈下になるのにspread out をおいかけている
    • spread out = 日本語にすると拡散 でしょうか、湿度の高い高度で積雲が崩れて横に広がってしまうケースを意味します。日本だと一度spread out が始まってしまうとそのままリフトコンディションは終わり、が多いと思いますが、ヨーロッパではさらに新しい積雲が発生するので、その新しい積雲を探すのがキーになります
    • spread out の中でもストリートを探している
  • 積雲の下の良い部分の兆候をもっと追いかける(雲の下のひげ、濃い部分、雲頂のしっかりしたところ)
  • インターサーマルの速度が遅い。ミニマム125km/hは下回らない。リフトの兆候を感じたら145km/h まで減速、その後さらにリフトの兆候を感じるようであれば125km/hまで減速
  • 1st ターンはもっと急バンクで、緩バンクではリフトを突き抜けてしまう
  • 風下へのレグは速度を出しすぎない(速度を出さなくても伸びる)
  • 雲の狙い方
    • 日中太陽の高い時間 雲の中心 濃いところ
    • 午後遅く、太陽が傾いて来た時間 地面の雲の陰のエッジのトリガーの上
    • 雲底近くにいるときは吸い上げをもっと狙う、ウイスプ、中心
    • 雲底から離れているときはサニーサイドを狙ってみる
  • 対地 600m以下にしない
  • グライドスピードについてはマクレディーとSpeed Commander を使う、マクレディーを高く設定しすぎない。フィニッシュは1.5までセットしている
  • 旋回中に傾いてる
  • ヨーストリングをまっすぐに(滑らせない)
  • LX9000(フライトコンピューター)をもっと使いこなす
    • Thermal Assistantを用いたセンタリング
    • リフトに入ったら縮尺の拡大
    • Track up モード、Course Steering を使ってオフトラックの度合いを確認
    • xtrk (経路からのずれの距離)でオフトラックの度合いを確認(あまりオフトラックしない)

私の気づき
  • 不要な手汗をかかなくなった(ストレスによる緊張が減った)
  • 足の突っ張りも減った(緊張すると両足が突っ張るのは通常のこと、ラダーが踏みづらくなる)
  • 平野のナビゲーションでどちらに向かって飛んでいるのかが分からなくなるときが減ってきた(LX9000 の steer to course をもっと活用する)
  • 2013年の課題は選択肢が多すぎる(積雲の多いコンディション)だと迷ってしまってどっちつかずのフライトになることが多く、迷わないことを課題にしていたが、今回は逆に決めてしまったら自分で選択肢を狭める(情報を入ってこないように遮断して迷いを絶つ)ことをしている。バランスが必要
  • これと決めるとそこしか見てない、オフトラックが苦手(迷っている内に選択肢を通り過ぎてしまう、年齢のためか、柔軟性が下がってきている)。不安になるとそこにすがってしまう。
  • 緊張して呼吸を止めてしまい、十分な判断ができず、ありえないような間違った判断におちいり、自己嫌悪に陥る。深呼吸をフライト中も取り入れ、自律神経を調整する
  • 疲れてきて、先の状況が悪いと、明らかにプランニングを忘れて、直前の物しか見なくなる、つねに2,3手先を深呼吸して考え直す
  • spread out は今まで全く逆に間違えて理解してた。過去失敗に陥ったケースは思い返してみれば多くがこのパターン。

コーチに指導頂くのは実に7年ぶりです。元々私はセンスは低く、出来の悪い、成長の遅い訓練生なので、コーチを失望させてしまうことも多々あったと思います。一人で練習していると、なかなか負荷をかけた練習はできませんし、気がつけないことがたくさんありましたが、多くの不足点への気づきを得られることができた一週間でした。完全に習得するまでは至りませんでしたが、この気づきを来週のポーランド選手権に生かしてみたいとおもっています。
コーチの Centka氏と



2014/05/23

ポーランド選手権 Day4

本日も晴れてます!
雲一つ無い空に昨日と同じように逆転層ができています。
曳航機も朝の準備をおえてスタンバイ。


本日のタスクはこちら。最初はタスクAの予定だったのですが気象条件をみてタスクBに変更。
ブリーフィング後にタスクが変わることもあるのでパイロットはどちらになっても大丈夫なように準備をしておきます。

今日のタスクBは滑空場をはさんで行ったり来たりのパターンになりました。それでも距離はトータル468km。本日もロングタスクです。

ちょっとここで今回使用しているカメラについてご紹介。

今回のブログで使用している写真は広報チームではなく、カメラ素人のリーダーが撮影しています。機材協力いただいているオリンパスイメージングから借用した OLYMPUS STYLUS1を使っています。これが結構使いやすい。



広報班からは、「このカメラは背面の液晶のほかに一眼レフみたいに飛び出た部分に液晶ファインダーもあって、そこに目を当てて両腕とおでこの3点で固定して撮るとブレの少ない写真が撮れるよ」と言われて来ました。

なので近くのものを撮るときは iPhone のように大きな背面液晶で、
遠くのものを狙う時はファインダーをつかって脇を締めながら撮影しています。

とにかくこのカメラ、小さいのにズームが効いて100m以上先のものも大きくキレイに撮れます。とはいえ、上空500m以上を旋回して上昇していくグライダーを撮影するのはちょっと難しい。というのが感想です。

今日の写真はズームしたものが多いのですが、雲の様子など全体の風景を撮るときにはズームせずに撮影しています。広くも撮れるしズームも簡単。暗い屋内のブリーフィングでも明るくブレずにとれます。

それは「レンズが明るいから」だそうです。難しいことはわかりませんが、コチラ をご覧ください。正直、コレ1台で何でもこなせてしまいます。

専門的なことは全く説明できませんが、そんな素人でこのレベルの写真撮影が可能だ、ということは参考にしていただけるのではないでしょうか。

そんな私の本日のレポートです。

ラインナップもおわり発航は10:30から、となっていましたが気象条件がまだできあがらずしばし「待ち」です。こちらは翼の影で地図を見てます。ルートチェックと作戦を考えているのでしょうか。

今日もセントカ師匠が来てくれました。弟子が出向くのではなく師匠が来てくれるというありえない環境です。毎日師匠を見てますが、本当にパワフル!レジェンドオーラがあります。

Maruの今日の目標は「師匠についていく」「あせらない、あわてない」です。

オープンクラスに参加しているDuoDiscus(複座機)の後席に今日は子供が乗るようです。パラシュートも背負ってばっちり決まってます。パイロットはエントリーした人しか乗れませんが、後席は操縦できないように設定しており、いろんな人が日々交代で搭乗しているようですね。
楽しんできてね!


Maruも出発!今日は17時には上昇気流がなくなる予報なので17時前帰着をめざして。


選手が戦っている間にCrewはランチタイム。
ロングタスクでサンダーストームの心配もないこんな日はあわてることなくゆっくりランチ。
Gáborが好きなピザの美味しいイタリアン。Gábor、45cmのピザを完食しちゃいました。(iPhoneで撮影)




満足したあとは滑空場にもどり、Maruの帰りを待つことに。

思ったより早くMaruからの「10k」(滑空場手前10kmの意味)の無線が。
今日はうまくいったか!?
いそいそとカメラを取り出し「あれだ!」と撮った写真。が、実はこの後ろがMaruだった。。。
のでMaruの写真は撮れませんでした。(同型の機体ですのでイメージしてください)

さて結果は??

あ、うまくいったらしい!!

今日はスタートからゴールまで、かなり納得のいくレースができたようです。
ASG29Eにも慣れてきて、セントカ特訓で学んだことが少しづつですが理解して実行できるようになったとのこと。アウェイで戦うためには事前の慣熟は大事ですね。 本日の結果

グライダーを格納して本日の競技終了。この時点で17:15。積雲はだいぶなくなりました。

恒例のビールで今日の振り返り。そこに毎日Maruにブリーフィングの内容を通訳して伝えてくれる
Mikolaj が登場。(スタンダードクラスに出場)「今日はエンジン使わなくてすんだ?」「もちろん!」という会話からスタートしてポーランドの選手たちについて、いろいろ教えてもらいました。こういう交流も大会ならではのものです。

明日は今日と似たコンディションになる予報。
疲れをとって明日に備えます。

赤石(撮影:OLYMPUS STYLUS 1)


パイロットレポート

本日は水を10秒(約20リッター)抜いて飛んでみました。前日までフルウオーターで飛んでいたのですがハンドリングがいまいちうまくいかなかったためです。このためか、本日はハンドリングがよく、遅れることなくガグルと飛べました。
Stalowa wola 近辺は南東の風になるとポーランドの南東からの風と南からの風がこの付近の森のあたりでコンバージェンスになるようですばらしいコンバージェンスが発生し、今日はコンバージェンス沿いのタスクをかっ飛ばして飛べました。私の場合は60km程度を旋回無しで、L/D = 500 程度で飛べたのですが、トップは 100km 以上を無旋回でグライドして、さらに平均グライドスピードが 10km/h以上早く飛んでいます。このあたりがトップクラスとの大きな差ですね。。