2022/07/30

アサインド・エリア・タスク(AAT)とは?

 世界選手権のレースでは2つのタイプのレーススタイルがあります。

1.特定の距離をどれだけ速く飛べるか(Racing Task:RT)

2.特定の時間でどれだけ長い距離を飛べるか(Assigned Area Task:AAT)


今回はアサインド・エリア・タスク(AAT)についての説明です。

7/29(金)のタスクはレーシングタスク(RT)からアサインド・エリア・タスク(AAT)に変更となりました。

RTは旋回点がポイントですが、AATは旋回点が半径20kmくらいの大きな円に設定されているのが特徴。この円の中に入れば旋回点クリア! になります。逆に、旋回点の一番奥まで行っても構いません。つまり、パイロットによって飛ぶ距離がマチマチになるワケです。ここで、公式ホームページのタスクのページを見てみてください。


<タスクの描かれた地図>

大きな円が旋回点に描かれています。この円のどこかに入れば旋回点はクリアです。


<タスクの設定内容>

一番下に Total:251.02km/489.96km (362.07 km) と書いてありますね? これは最も短い距離でゴールしたら251.02km、最も長い距離を飛べば489.96km 、旋回点の中心を結んで飛べば 362.07 kmということです。

グライダーは「タイムレース」ですが、正しくは平均速度を競います。平均速度は飛んだ距離を時間で割って算出しますですからAATの場合、より多くの距離をより短い時間で帰って来た者が勝利者です。でも、1日の中で気象条件が本当にいい時間帯は限られていますから多くの人は短い距離をより短い時間で帰ってこようとします。

ところが! AATには「最低時間」というものが設定されています。「これより早くゴールしてもその時間を適応しますよ」という時間です。タスクの 上部に書かれた「Task duration」をみてください。 2:30:00とあります。この日は2.5時間に設定されていましたが、仮に2時間でゴールしても2.5時間のタイムが適用されてしまうのです。そんなものを適用されてしまては自分の「平均速度」が遅くなってしまうので、「2.5時間+αの時間で可能な限り距離を稼いでくる」という作戦になります。旋回点の通過の仕方も十人十色。ある旋回点は奥まで攻め、ある旋回点はタッチするだけで次へ向かう、といった組み立てが自由にできるだけに、しっかりとした戦略が必要になります。それを飛びながら、気象条件を読みながらこなしていくワケですから、とても頭を使います。

グライダー世界選手権は一斉スタートではなく、任意のタイミングでスタートラインを通過してからゴールまでの平均速度を競います。レーシングタスクでも1番でゴールした人がその日の1番!ではないこともあり、AATの場合はさらに飛んでいる間に順位がわかりにくいレースとなります。

が、まるはどちらかというと、イケイケドンドンのスピード勝負よりこのAATを得意としています。レース中はまるがどんな飛び方をしているか、にぜひ注目下さい。
順位は全員が飛び終わってからのお楽しみです。



グライダー世界選手権大会2022 開会式

 


July.23(Sat)

いよいよ開会式

開会式はティサ川の右岸にある Móra Ferenc Museum の広場で行われました。



まずは各国の入場行進です。

地元の子ども達が国名のプラカードを持って先導してくれました。

それぞれの国のチームシャツにもご注目!


ドイツチーム チームシャツのデザインが変わりました


そして日本チームの入場です!

同じく18mクラスにエントリーされている 市川 展 さんは直前に発生した機体トラブルへの対応で参加されませんでしたので、写真に写っているのはほぼほぼTEAM MARUの面々です。




日本チームのキャプテンは 佐志田 伸夫 さん。

公益社団法人 日本滑空協会 の 常務理事 兼 事務局長 です。

練習期間を含めると2週間以上にもわたる大会日程の全期間を現地ハンガリーに滞在いただき、チームを率いてくださっています。

うだるような暑さの中、競技開始前から毎日のように開かれるチーム・キャプテンミーティングに参加して、パイロットがフライトに集中できるよう、さまざなに気を配ってくださっています。

本当にありがとうございます!

最後を飾ったのは地元ハンガリーのチームです!


各国の選手団を民族衣装で迎えてくれた子ども達。

とっても可愛いです。




南アフリカチームは女の子の頭に影をつくってあげていますね。

40度を超える暑さの中、よくがんばってくれたね。

本当にありがとう!


私達はこの日を夢見てきました。

これも全て、みなさまからのご支援、ご協力のおかげです!

また、コロナ禍での大会中止を乗り越え、開催に漕ぎ着けてくださった多くのグライダー関係者の皆さんのおかげです。

本当に、本当にありがとうございます!


明日から試合が始まります。

楽しく、そしてチャレンジしてきます。

みなさまの応援、よろしくお願い致します。


2022/07/29

日本チームのアンテナ立てました!

July.23(Sat)

開会式の日

本日より河村&市岡クルーが参加です。他、河村ファミリー&高木クルーが欠場の代わり参加の娘さんも加わり、チームに活気が出てきました。


さて、2名加わったところで最初の大事なお仕事を行います。それは無線アンテナの設置!

上空のパイロットに地上から気象情報を送るため、無線を使うのですが100キロ以上離れた場所まで電波を飛ばすには高さが必要です。そのためには長いアンテナを設置する必要があります。アンテナを立てるための材料は近くのホームセンターで下見済み。

他国のアンテナ設置状況をチェックし、完成イメージをつくり、材料の調達をし、いよいよ設置です。


この日は晴天&気温40度越え。日差しが痛く、鉄パイプが熱くなります。

支柱を支えるロープの取り付け

ポールをたてる

コンテナに登り、ロープを4方向に伸ばす

リーダーもがんばる!

当初検討した 2m + 2m + 2m + 1m の4段で水道管をつなげて立てたアンテナは重すぎて折れてしまったので、コンテナハウスの上に立てることでコンテナハウスの2.5mを高さとして活用することにして、2m + 2m + 1m の3段で7.5mの高さとして、隣のハンガリーチームと同じ高さまで上げました。

熱風の中各国の高さに負けないアンテナを50代2名、20代1名で設置しました!(リーダーも手伝いました。)


ロープの固定は縄跳び結び
知っててよかったロープワーク、航空部で習ったもやい結びやなわとび結びが大活躍です。

できたー!

このときすでに気温40度越え。がんばりました!


が、、、新規にヨーロッパで購入した無線機と日本から持ち込んだアンテナの端子形状が異なっており、残念ながら明日はロングアンテナを使った無線は稼働できず。(アンテナ側はM型で、無線機側はTNCタイプ)。後半クルーに日本でのコネクターの手配を依頼するとともに、現地でもコネクター購入手配を行いました。いずれかの到着待ちです。

今大会に向けて新規で調達した f.u.n.k.e社のATR833無線機。8.33KHz対応の無線機です。ベースステーションのコネクタ(ANT)はTNCコネクタ(BNCコネクタのサイズでネジがある。Beckerのトランスポンダーとかに使われているのと同じコネクタでした!
日本から持ち込みのディスコーンアンテナ (Diamond D150) はM型コネクタで、いくら探してもこの組み合わせを直接変換できるコネクタは見つからずでした。


その後現地の無線アンテナやさん ANTENNA SZAKÜZLET でTNC-BNCの変換ケーブルを作成してもらい、手持ちのBNC-M型変換コネクタと組み合わせることで、無事に二日目から使用できました!

無線アンテナって、M型、BNC、TNCだけでなく、N, SMA, SMB, F とたくさんあるんですね。。

https://www.doujiku-hikari.com/coaxial/connector/type/


その後、急いで家に戻りチームシャツに着替えたのち、市内の公園で行われる開会式へ向かいました。






2022/07/26

2022WGC 観戦方法(オンライントラッキング)

 〜2022WGC オンラインでの観戦の方法〜

オンライントラッキングできます。日本とハンガリーの時差は7時間です。
1.glider and seek を立ち上げる https://glideandseek.com/
2.画面左上にあるアイコンの上から4つめをクリック


3.SoarScore.com をクリック


4.37th FAI World Gliding Championships 2022の下にある「18m Day7 Task1 - 407km Race」をクリック


本日のタスクとフライトしているグライダーのコンテスト・ナンバーが表示されます。


5.「AX」を探してクリック → AX(MARU)の情報が表示されます。


6.画面のこのマークをクリックすると、下にAltitude(高度)のデータが表示されます。


★レース観戦のポイント(応援ポイント)★

<観戦のポイント>
「決まったポイントをクリアして1番短い時間で帰ってくると勝ち!」つまり、1レースの平均速度が速ければ速いほど上位になります。

1.スタート時

スタートは一斉スタートではなく、自分でスタートするタイミングを決めます。

全部のグライダーが離陸してから30分たつとスタートゲートがオープンします。各選手は気象条件を判断し、ライバルの動向を観察しながらスタートタイミングを決めます。

スタート前。ガグルを組んでスタートタイミングを伺っています。


<駆け引きポイント>

上位の選手をマークする選手は多くいます。そんなフォロワーを振り切るため、「フェイクスタート」を仕掛ける選手もいます。いったんスタートするとみせかけて、フォロワーたちスタートゲートをくぐらせた後、自分はスタート地点にまた戻り再スタートする戦略です。


2.レース中

まずは応援する選手のフライトをチェック。

この中で注目する情報はまずは2つ。速度と高度です。



応援する選手のコンテストNoが記載されたアイコンは大きく2つの動きをします。

・グルグル回っているとき
 フライトのエネルギー源である「高度」を獲得するために上昇気流をつかまえて上昇中。Altitude の数字(高度)があがります。Varioの数字が+の時は上昇中です。「いいぞ!」と思ってください。


・直線で進んでいるとき

→獲得した高度を使ってかっ飛ばしてます。Speedをみてください。現在時速何キロで飛んでいるか、がわかります。「行けー!」と思ってください。



3.こんな時は...

・数機一緒にグルグルまわっている。

他の選手と共に上昇中です。下に出てくるAltitude の数字(高度)がグイグイ上がってきたら「いいぞいいぞ!」と思ってください。

・他のグライダーが直線で飛んでるのにAXがグルグルしている。
 他の選手に追いつくため、高度を獲得してます。「もう一踏ん張り!」と思ってください。

・グルグルしているのに、Altitudeの数字が500m以下のまま。
→高度がなかなか獲得できず、とってもツライ状況です。「ここで粘って!」と思ってください。


注意点

・競技に参加している機体の内一部トラッキングから見えない機体がいます(戦略的に地上から見えないようにするため。)

クルーやチームメンバーも地上から支援をしています。

みなさまの応援、声援、よろしくお願い致します!

2022/07/23

Official Training Day

 July.20

Official Training Day1

本日も晴天、最高気温は35度を超える天気となりました。 明らかに昨日より暑いことを実感しながら、朝の準備も行いました。

本日は532.5キロのタスクが設定されました。500キロ超えはロングタスクとも言え、それだけ気象条件が良いことを示しています。

タスクは532.5キロ。地上気温は35度。空は涼しいそうです。


★本日の結果★ 
Daily 7位 



<MARUのコメント>
今日はフランスとベルギーチームと一緒に飛びました。
スタートがうまくいき、前半はうまく飛べましたが、中盤のコンディションが弱くなったところで少し遅れてしまいました。遅れた後も後半のコンディションの回復は見えていたので集中して飛ぶことが出来、トップのフランスからは7分遅れ、ベルギーからは3分遅れでまとめることが出来ました。

上空で撮った映像はこちら 速度200km/hで飛んでいます。

その後、間に合えばフライトする予定です。

2022/07/21

大会前 Szeged入り〜Unofficial Training

 July.16(Sat)

フランクフルトで乗り換えて、最初の目的地であるオーストリアのGrazに到着。
この空港は定期便が利用する滑走路の横にグライダークラブと滑走路があります。手前が私達が乗ってきた飛行機、奥にクラブハウスとグライダーが見えます。(写真では小さくてわかりにくいかもしれません)
飛行機を降りて徒歩でターミナルまで移動。コンパクトな空港です。

グラーツの空港 奥にグライダーがいます


昨今の情報をSNSなどでチェックしていたところ、ヨーロッパのハブ空港での乗り換え時に荷物が遅れをとり(コロナからの旅行需要の回復に対して、空港スタッフが少ない、ストがある、などの理由で)ロストバゲージするケースが多いという話が多くあがっていました。そのため、預け入れのスーツケースには位置が追えるようAirTagをセット、荷物がついてこない場合に備えて手荷物には数日分の着替えとお米とおにぎりセットを入れていましたが、無事にGrazまで荷物も届きました。一安心です。

ここまで順調にきています。 明日はハンガリーに向けて陸路を移動します。

2022/07/15

ハンガリーに向けて出発します

本日(7/15)、羽田空港からヨーロッパに向けて出発いたします。

グライダーをオーストリアのグラーツでピックアップしたのち、陸路約500キロの陸送して大会会場のあるハンガリーのセゲドに入ります。

練習開始から大会終了まで、チームメンバーがみなさんに日々の結果や様子をお伝えしていきます。Facebook(https://www.facebook.com/TeamMaru)にもアップします。

一緒に世界選手権を楽しんでいただけるよう、私も楽しくチャレンジしていきます。
応援よろしくお願い致します。

<TEAM MARUの予定>
7/15(金)      日本出発
7/17(日)      オーストリアでグライダー受取後、ハンガリーへ陸送
7/18(月)– 22(金)  練習期間 ハンガリー セゲド飛行場
7/23(土)      開会式  ハンガリー セゲド市内
7/24(日)−8/05(金)競技期間 ハンガリー セゲド飛行場
8/06(土)        閉会式  ハンガリーからオーストリアへグライダー陸送・返却
8/09(火)      日本帰国

では、行ってきます!



ps. 多くの皆様から支援をいただきましたこと改めて御礼申し上げます。ありがとうございます!

パイロット 丸山 毅


2022/07/04

ハンガリーの航空雑誌「AEROmagazin」に掲載されました

 


pdfダウンロード

2022年5月にハンガリーSzatymaz 飛行場で開催されたフレンドリーなグライダー競技会 「Alfoldi Cup 2022 」の様子がハンガリーの航空雑誌「AEROmagazin」2022年7月号に掲載されました。この大会に参加してたMARU には「競技会のインプレッションを」との依頼があり、寄稿させて頂きました。

掲載はハンガリー語なので、英語で書いた原文を載せておきます。

------------------
Alfoldi Cup 2022
I'm Takeshi Maruyama from Japan. I lived in Tokyo and flying in Japan. I flew several gliding competition in Europe every year. This is the 4th time to visit to Szatymaz airfiled (2017, 2018, 2019, 2022). Last 2 years due to Covid-19, I could not come to Hungary.
Why I came to Satymaz regulary ? Richard Basa, he rented me his glider several times, and he invited me to this very nice friendly competition ! This competition is very well organized, very nice airfiled and very delicious dinner and breakfast. I was welcomed by many kind people and made many good friends. I talked with other competition pilots and asked many things about gliding. I feel this airfield is like a home club in Hungary for me.
I would like to express my gratitude to Peter Szabo, who organize this airfiled, and club members and Hungarian pilots.

I look forward to seeing you next year, too. See you in Szatymaz !
----------------

ハンガリーでのグライダー世界選手権へ出発まであと10日、楽しみです!