2025/08/04

グライダーヨーロッパ選手権大会2025(Békéscsaba) Day6〜Day8

1.Aug Fri Competition Day6
Task RC Polygon with 5 points
Distance:546.7km

快晴です。
朝10時の北東方向。青空の中に1つだけ雲が見えます。

今日はレーシングタスク。ロングタスクがでました。ゴルフだとパー5ホールのイメージです。
長めのタスク設定です。
ブリーフィング後のミーティング。 暑いハンガーの中では机の上のハンディファンはみんなに羨ましがられます。

青空の中に雲が1つ出来ていました。空の空気も活性化している模様。今日はアーリースタートを意識して、条件が弱くなる前に帰ってくる戦略です。
暑くて熱い1日になりそうです。

11:30曳航開始
上空にはクラウドストリートができています。
雲がどんどんできてきました。

雲のでき方

クラウドストリート

次に出発です。
曳航機到着
出発!
次々と発航させるため、スタッフが頑張ってくれています。

このような日は上昇気流を探すのに雲を利用します。早めにスタートする、と言っていましたが今日はどのようなフライトになるでしょうか?

グライダーが飛び立ってしまうと、地上からは飛ぶ様子を直接見ることができません。
そのため、トラッキングシステムをつかって各競技グライダーの位置を確認します。
今回はGlide&Seekというツールを使っています。
観戦方法はこちら
先頭のガグルと一緒に第一旋回点をクリアして第二旋回点に向かってます。

この先、ブルー(雲のない)エリアがあるようで、地上からクルーが無線で情報いれました。

地上ではクルーが衛星写真や気象情報、他機の動向などの情報を適宜上空のパイロットに無線で送ります。グライダーレースは情報戦でもあります。クルーの役目は重要です。

前日無線の到達距離が80kmほど先から届かないことが発生しました。
他国の無線の状況を各チームにヒアリングしたところ問題なしだったとのことで、日本チームのアンテナ設置場所の横の樹木の陰の影響が考えられたため、アンテナ設置場所を空の開けた場所に移動しました。
おかげで150km先まで届くようになりました。
飛行場の西側には良さそうな雲が広がっています。


ロングタスクを飛びきりました。集団から離れるとこなくよいレースだったと思います。お疲れ様!


<パイロットコメント>
本日は540kmタスクで想定平均速度は130km/h、4時間10分位のレース時間を予測していました。サーマルコンディションの終わりが16時半から17時の予報なので、13時にはスタートしたいと思って飛び立ちました。サーマルタイムに対してタスクが長いため、スタートスロットの選択肢が少なく、結果10分位の間に全機がスタートする展開になり、私にとっては飛びやすいコンディションになりました。

昨日の振り返りを活かして、スタートラインの風上側で待機することを心がけ、大きい積雲が発達したのでイベントマーク後の8分間に高度の維持をすることができ、ガグルのスタートに合わせてベストなスタートを切ることができました

第一レグは順調、第二レグも順調でした。クルーから事前に無線レポートのあったドナウ川を渡る際のブルーエリアを乗り切るために、ブルーエリアの直前で雲底まで上げてからブルーエリアを渡ることができ、ガグルの中で1番高い高度でドナウ川を渡ったすぐ西側にあった上昇気流に到達することができました。ブルーのエリアの幅は30〜40km位でした。西風のためドナウ川の風下側(東側)にブルーエリアが広がります。ドナウ川の西岸(風上側)は西風がドナウ川にあたることでトリガーされたリフトが発生しますので、渡りきるとリフトがあることが多いです。

ドナウ川西岸は、土壌が変わることからコンディションは弱くなるのがいつものパターンなので、ここもガグルを使って飛びました。バラトン湖南の旋回点ターン後の折り返し後半は結果的に先頭集団で飛ぶことができ、第2旋回点を回れました。旋回点折り返し後のサーマリング中にバラトン湖の南に巨大なテント村が見えました、あとで調べたところ、ハンガリーで最大の夏フェスの開催地(Ozora村)だったようでした。(2022年に勤務先の同僚の方が行かれたそうです。)

折り返し後も後続のガグルと抜きつ抜かれつで飛び、結果は132km/h、920点の出来栄えでした。自分としては悪くない出来栄えだったと思います。


今日も暑かったので夕食後にスイカを食べました。
1/4カットで約120円。甘くて美味しいスイカでした。明日も天気良さそうです!


2.Aug Sat Competition Day7
Task RC Polygon with 5 points
Distance:521.6km
今日も晴れてます。
今日も晴れました。昨日よりは少し空が白く見えます。


今日も500km超えのタスクです。
昨日ブルーだったドナウ川は超えず、ドナウ川手前での折り返しのコース設定です。気象コンディションは昨日と似ており、雲を使った飛び方になりそう。アーリースタートを目指し、気象条件が良いうちにフィニッシュする計画です。西から寒冷前線の接近に伴い天気が崩れる予報のため、西側エリアは早めに飛びきりたいとのこと。
朝の情報チェック。こちらは地表の水分量のデータ。
雲の予報。西から雲に覆われる予報だそうです。

ランウェイにでて、出発準備です。
フライトコンピューターの設定


出発前ランチ

今日はいつもと反対に南向きに離陸。風向きが前日までと変わりました。タスク設定された北側と西側に雲が見えます。
北側にも雲が出始めました。
西側に雲ができてきました。

上空のコンディションはいかに?長いレースが始まります。今日も無事離陸しました。

オンライントラッキングで観戦できます。
ゲートオープン12:47
日本とハンガリーの時差は7時間。いま日本は土曜の夜かと。ビール片手に観戦してみてはいかがでしょうか?
観戦方法はこちら(リアルタイムのため、現在はレースの様子は閲覧できません)

地上クルーはスタート前の情報提供しながらおにぎり食べてます。忙しい時間帯なのです。

<本日のレース展開>
12:47 ゲートオープン  
全機離陸してから30分後からスタート可能となります。グライダーは上空で高度を稼ぐor維持しながらゲートオープンを待ちます。この時間の間に同じ気象条件の下、高度を稼ぐor維持することになり、スタートまでの条件が同じになります。
スタートのタイミングの計り方は大事です。気象条件が良くなるとみて、スタートを遅めに取るか、悪化が早いとみてスタートを早めにするか。
今大会ではスタートを切るためにはルールがあります。イベントマークという「スタートの意思表示」を押してから8分後にスタート可能となり、その後5分間がスタート可能時間となります。イベントマークは3回まで押すことができます。「そろそろスタートを」と思って押してから8分後、スタートには適さない状況になっていることもあります。その時は再度イベントマークを押すのですが、その後8分経たないとスタートできません。このイベントマークのタイミングがスタートを左右します。
13:19スタート 18mクラスの中では遅めです。
13:19 スタート

13:50 第一旋回点クリア フランスチームと飛んでいます。フランスチームは現在上位にいる強いチームです。どこまで一緒にいけるか!?
13:50 第一旋回点クリア

14:18 地上からは見えませんが、いま飛行場の西側を通過。第二旋回点に向かってます。

ベースキャンプから見える西側の空。クラウドストリートがあって良さそうに見えます。

14:50 第二旋回点クリア フランスチームを追いかけています。ちょっと離されてきました。
14:50 第二旋回点クリア
15:45 第三旋回点クリア 
フランスチームからは遅れ、後ろからきたイギリスチームと一緒に飛んでいます。
15:45 第三旋回点クリア 

16:10 キープハイで飛んでいましたが、ちょっと低くなってしまいました。高度上げ直して第4旋回点に向かってます。
16:10 高度上げ直して第4旋回点に向かってます。

16:30 第4旋回点クリア!あと100キロちょっと。
16:30 第4旋回点クリア

16:45 グイグイと高度獲得中。上がりきったらファイルグライドか?
16:45 グイグイと高度獲得中

16:46 あと80Kmほどありますが、ファイルグライド(高度獲得せずにゴールを目指す)に入ったそうです。ゴールに届く高度は獲得できた模様。このままゴールできるか⁈
16:46 ファイナルグライドのコール入りました。

17:05 第五旋回点クリア 最短距離のオンコースでゴールに向かってかっ飛ばしてます。

ランディング。混み合ってます。
最後はグイグイあげてゴールまでかっ飛ばしました。
途中もよく粘ったのではないでしょうか。上がりきれないことが続いたときに、クルーからの声かけで落ち着けたようです。チームで戦ってます。

<パイロットコメント>
昨日と同じく520kmのレーシングタスクとロングタスクとなりました。サーマルタイムに対して4時間近く飛ぶタスクになるためスタートは昨日と同じく13時過ぎと考えました。

高気圧の後面の南西の風になってくるとヨーロッパではサーマルウェーブのコンディションになることがあります。本日も予報にはありませんでしたがサーマルウェーブのコンディションになり、雲底2400mくらいだったのですが、2800mまで雲の前面で上がっている機体がありました。高くあがれた機体は高い高度からスタートをかけていました。私もサーマルウェーブにトライしましたが、タイミングが合わず、他の機体の動きを見て考えを切り替え、雲底まで上がりきった後スタートすることにしました。

このコンディションの時は一様に上昇気流が発生せず、スタートラインから離れたところでしか上がらないパターンがよくあります。スタートラインまでのグライドにかかる時間とイベントマーカーの時間をうまくマッチさせるのが大事です。途中で上がれることを期待して早めに雲からスタートラインに向かって出たのですが、リフトがやはり無く、スタートライン付近でゲートオープンを待つことになる羽目に、が、幸い高度維持できる上昇気流があり、何とか高度を維持してスタートを切ることができました。

他機と一緒にスタートすることができませんでしたが、直前にスタートしたフランスチームが見えたので彼らを追いかけ、ファーストサーマルでフランスチームと合流。第一レグはフランスチームと一緒に飛べました。が、第二レグから徐々においていかれます、第二レグ後半でフランスチームから完全に遅れてしまったので、後続のガグルと飛ぶことに切り替え、この判断はうまくいきました。

同じタイミングでリフトにエントリーできれば、半数くらいのパイロットとは同じ上昇率で上昇できるようになり、時には上昇率で上回れる(一度遅れても上がりきるまでに追いつける)こともあることが出来てきたのは大きな成長だと思います。ですが、トップ10クラスのパイロットに対しては、同じ上昇率、グライドパスを維持することが出来ないことがしばしばあります。

同じ上昇率でクライム出来るときのエントリープロシージャー
①ピッチアップしながらロールイン、flap4-flap5 でターン確立、トリムセット(トリムセットしないとピッチアップしたピッチが維持されない)、ここでピッチアップしすぎたときはちょっとだけピッチダウン
②センターが安定してきた(大きなセンターの移動(バンク変更)が不要と思われる段階)まできたら、Lフラップでピッチ上げ一杯、トリム再セット(ここで重心位置があっているとトリム最大アップ)
③まだセンターをずらさないといけないときはflap5に戻してピッチダウン、トリムも戻す、良くなったら②の繰り返し
④よいブローが来たら、バンクを絞る、この際、少しだけボトムラダーを使って旋回外翼の揚力をプラスしてバンクインの初動をつける

追いつけるときの感覚は少しづつ見えてきました。
すぅーっと上に伸びていくブローの吹き上げ、あわせてそこまで定常トーンだったLX9000のオーディオバリオの音が一段トーンが高まるときに、バンクを絞っていく(ほんの少しだけプルアップしながら)と、先行機も同じブローでちょっとだけ上昇率をあげたところを、同じように追い付いていくことが出来ます。とくに、サーマルのトップ付近に近づくと、サーマルの上昇率は、逆転層で綺麗に蓋をされている場合だとトップに近づくと上昇率が落ちることが多いので、上の先行機の上昇率が落ちたところで、下の良い上昇率を使って追い付くことが出来ることが分かりました。

トップ10クラスだと、まだこれだけだと説明できてない点があると思ってます。例えば、先行機が無い状態で、トライしてエントリーした際に、同じようにフォローして飛んでいると、「ここはリフト無いんじゃない?」と思うようなときに、270度法で旋回方向を変更してあたることがあるのですが、なぜこの逆方向だったのかが説明が出来ない(自分一人だったら見つけられない)ことが多々あります。。

まだこれらのプロシージャーは明確な言語化までが出来てないので、分かってきたらまとめていきたいと思ってます。

その後はこのガグルと飛ぶことができ、136km/hでフィニッシュしました。トップのスピードは146km/h位かなと思ったのですが、ドイツチームが単独で150km/hを出していてビックリ。今日のスコアは何とかギリギリ合格点の80.8% 808点になりました。うまくはいきませんでしたが大きな失敗にはならなかったので良かったと思います。


3.Aug Sun Competition Day8
No Task / Rest day
サンダーストーム予報。Rest dayとなりました。

まだ雨は降っていませんが昼食用のおにぎりづくりもここでストップ。
この後雨が降りました。
毎朝おにぎりつくってます。全部で15個くらい。
サランラップは必須なので日本から持参。

大会スタートして1週間。ちょうど折り返しなのでいいタイミングでのレストデイになります。
明日からのレースに向けてゆっくりします。

お休みの1日。
二度寝してからランチへ。美味しかったイタリアンレストラン「Bonita Bisztró Békéscsaba」へ再訪。

注文しておしゃべりしていたら「日本の方ですか?」ときれいな日本語が。後ろの席にいたハンガリーの女性と中国の男性のカップルから声をかけられました。お2人とも城西大学に留学経験があり日本語がとても流暢。まさかベーケーシュチャバで日本語で話しかけられるとは!いろいろお話できました。日本にまた行きたいとのこと。お待ちしてます!
各地にあるTESCO

その後はスーパーに買い出し。

夕食はインターナショナルナイトで残った日本酒を呑みながら、日本風つまみを食べてます。スモークサーモンをワサビと醤油で食べたら刺身を食べてる気持ちになりました。

明日は飛べますように!

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