今回お借りした機体はベルギーの方からお借りしたのですが、陸送のための時間を短縮するために、ドイツのポッペンハウゼンにあるアレキサンダーシュライハー社での受け渡しとなりました。
アレキサンダーシュライハー社工場全景 通りの名前は「アレキサンダーシュライハー シュトラッセ(アレキサンダーシュライハー通り」 |
アレキサンダーシュライハー社といえば、操縦練習でお世話になった複座練習機ASK-13・ASK-21や単座練習機ASK-23は同社製で、その社屋・工場を見ると感慨深いものがあります。
ポッペンハウゼン滑空場 工場のすぐ隣です。完成したグライダーのテストフライトが行われる滑空場です |
引き渡しと行ってもシュライハー社の駐車場に前日にベルギーから 300km を運ばれてきたトレーラーが置かれていて、鍵をシュライハーの方から受け取っての引き渡しです。エルロンのギャップシールの修理が必要だったのですが、朝の内にシュライハー社の方が済ませてくれたようで、修理は完了していました。
シュライハー社の駐車場に置かれたトレーラー |
さてグライダーの陸送ですが、グライダー専用のトレイラーに機体を収納し運びます。
胴体から両方の翼を抜き出し、胴体と川の字に並べた状態です。
借用物に漏れ抜けが無いか、故障が無いか入念にチェックします。
このトレーラーを車両後部にあるヒッチに連結し、ブレーキランプやウインカーも接続します。
今回お借りした車は予約次点ではVolkswagen Passat Variant (ステーションワゴン)だったのですが、何故かメルセデスの大きなバン(Vクラス)に、日本からレンタルできる大手のレンタカー会社では Europcar のみがヒッチ付きレンタカーを用意していて、1998年の初めてのドイツでの大会以来ヒッチ付きレンタカーが必要なときはここで借りています。窓口のおねーさん曰く「ヒッチ付きはこれしか在庫が無いのよ」と。予約システムはいったいどうなっているんだか。。。料金はPassat の料金なのでこちらとしてはよいのですが、車が大きすぎるのも考え物です。
高速走行は安定していて良いのですが、町中の取り回しは大きすぎて一苦労。細かい装備品も日本のバンの方がよっぽど良く出来ています(自動スライドドアとか)、まだまだ日本車はヨーロッパでのビジネスチャンスがあると思います。
ヒッチメンバーとはこんな感じです。車の後ろからボールが出ていて、トレーラーを連結できるようになっており、トレーラーの電極にブレーキ、ウインカー等の信号を分岐することができます。特殊車両なので、通常のレンタカー会社では取り扱いがありません。
実はここでピンチ発生。
トレーラー側でブレーキランプをつけるために牽引車側のブレーキランプ、ウインカーなどの電極をトレーラーに接続するのですが、このコネクタ形状が7pin と 13pin で合いません!(オーナーには変換コネクタの有無を確認していたのに!)電極をつけずに公道を走行するともれなく警察が捕まえてくれます。頭を抱えてシュライハー社に相談すると、変換コネクタを5 euro で出してくれました。「日本で買うと50 euro 以上するよ!」と冗談を飛ばして解決!ようやく12:00 過ぎに出発となりました。(昔は7pinが普通だったのですが、最近は13pin が増えてます。)
ポッペンハウゼンからポーランドのレシュノまで約650kmを約10時間かけての陸送となりました。
ポッペンハウゼン周辺は山道でスピードも出ません。
有名なアウトバーンに入るとさすがに広く高低差もあまりなく走りやすいのですが、こちらはトレーラーをひっぱている為100-120km/hで走ってますが、追い越していく車両は少なくとも200km/h以上のようです。追い越す車はアウディ、ポルシェ、BMW が多いです。
第2東名みたい、というか、第二東名がアウトバーンみたいです |
我々も時々遅いトラックを追い越しますが、油断すると追い越しが終わる前に後方でほとんど見えなかった後続車両が追いついてくるということもあります。
ドイツの広い畑 |
1.5hくらい走行したらサービスエリアで休憩を取り、ドライバーを交代しながらのドライブです。サービスエリアはどこにいっても同じベンダーしか入っていないので、飽きます。日本のように場所毎にベンダーを変えて、変化を持たせた方が良いのにと思います。
途中でトレーラーを引いたままサービスエリアのガソリンスタンドで給油。ディーゼルです。リッター11km くらいは走ります。80リッターくらいは入りそうなタンクです。ガス代は日本と比べても安くありません。ガス代で高速道路の建設維持をしているからと聞いたことがあります。
ドライバーも食事補給。味は普通です。
トイレはちなみに有料(1.5 euro くらいだったかな?)です。有料トイレの支払チケットがそのままサービスエリアで使える金券になっています。
サービスエリアには wifi もあるのですが、携帯電話のSMSが必要らしく、ログインできず。
アウトバーンに入ってしまうとひたすらインターチェンジの番号を数えるくらいしかやることがありません。アウトバーンはご存じの通り無料です。インターチェンジは7-10km おきくらいに設置されており、番号が振られていますので、過ぎていく出口を数えながら通過していきます。
ドイツ国内の後半は旧東ドイツ圏で、旧東ドイツ圏に入ると急に風力発電が増え始めます。補助金の関係でしょうか。2008年の大会も旧東ドイツ圏だったので、風力発電が多くありましたが、そのときに比べてもさらに増えています。
一面の風車 |
2008年に無かったもので増えたのがメガソーラー。ドイツのFIT(全量固定買い取り制度)価格は新規契約の買い取り価格はすでに日本の 1/2 以下に下がっていますが、以前の高額な契約のまま再生エネルギーを買い取りせざるを得ない状態で、家庭用電気料金がすでに倍近く上がってしまい、システムとしては破綻気味と聞きます。ドイツは建物が綺麗で景観がとてもよいのですが、建物の屋根に設置したソーラーパネルも多く、せっかくの綺麗な町並みの景観をつぶしてしまう残念な建物になっています。
インターチェンジの周辺には巨大な物流倉庫が増えました。amazon.de の巨大な倉庫も帰り道に見かけました。
平日だったせいか、アウトバーンはトラックばかりです。2008年に来たときもポーランドナンバーのトレーラーが無料のアウトバーンを多数走るので、道路の修繕が追いつかず、トラックに限り有料制度を導入したという記事を読んだ覚えがあるのですが、そのときよりも増えている感じです。3車線の一車線目はすべてトラック、というくらいトラックが多いです。物流が多いと言うことは景気が良いと言うことで、ヨーロッパ危機でもドイツ一人勝ち、というところはこのあたりなのでしょうか。ちなみに ETC のようなものはなく、年間パスポートみたいな形になっているようです。
工事中のアウトバーンも多し。山道だったりして渋滞しがちなところは積極的にバイパスを作っていますし、新規路線も増えています。あれだけ道路があって、さらに作っているところが驚きです。2008年に工事中だった路線もまだ工事をしていたり、工事は時間がかかりますね。
19:30 ごろようやく国境を越えてポーランドへ。国境と言っても渡良瀬川くらいの小さな川を渡るだけ。シェンゲン条約により、国境は県境くらいの標識があるだけで、検問所はありません。
ポーランドの夕暮れ |
このあとポーランドの高速道路のサービスエリアで夕食を取り、20:30 頃に高速道路を降りて、その後はポーランドの下道をひたすらドライブ。残念ながらポーランド国内はあまり高速道路が多くありません。(後から分かったのですが、サービスエリアのような施設もまだあまりたくさんは無いようです。)暗くなってしまい、地図も見えないので、カーナビ(Garmin) の言うとおりに走って行き、ようやく22:30 に滑空場へ到着しました。結局出発後10h のドライブでした。。(最近は海外ドライブにポータブルのGarminカーナビ が欠かせません。これさえあれば何処にでも行けます。中古で3000円くらい、地図ソフトも3000円くらいですし。)
ポーランド国内を2hくらい走ったのですが、途中で車のディーラーの多さが目につきます。しかもメルセデス、BMW もありました。思っていたほどは道は悪くなく、景気が良くなっている感じがしました。
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