2013/09/24

TEAM MARU メンバー紹介

9/22(日)都内某所。密かに大所帯となっているTEAM MARUのメンバーの顔合わせをしましょう!ということでこれまでの 活動報告会 & バーベキュー大会 を実施いたしました。秋晴れの中集まったメンバー10名+家族、知人、友人総勢19名。この場で初めて顔をあわせるメンバーもいたのですが、和気あいあいとした楽しい1日となりました!



9/21現在、チームメンバー数は18名。ブログ内にTEAM MARUメンバー紹介ページをつくりました。どんなメンバーで活動しているか、ちょっと覗いてみてください。

各メンバーとも本業は別にあり、チームにはボランティアとして参加しています。得意分野の全く違う個性的な面々によってチームが成り立っていることがお分かりいただけますでしょうか? それぞれが自分の持ち味を存分に活かしながら活動してくれています。この人材こそが TEAM MARU 一番の自慢と強みです。

そしてこの日、さらに1名メンバーが増えました。新メンバーの紹介も後日追加いたしますのでお楽しみに★

チームリーダー 赤石

2013/09/20

グライダーと食事② 〜 フライト中の栄養補給 〜

7月の欧州選手権当時、まるが機内に持ち込んでいた栄養食など。


 前回はまるの水分補給法とフライト直前のお昼ご飯についてお伝えしました。インタビューした私自身とても勉強になったので、もしお読みでない方がいらっしゃいましたらぜひ「フライト中の水分補給と熱中症」 と 「グライダーと食事①」をご覧下さい。

 さて今回は飛び上がった後、フライト中の栄養補給とトイレのお話です。タスクによっては5時間も6時間も飛び続けるパイロットが競技中その機内に何を持ち込んでいるのか? 詳しくインタビューしていきましょう。

 実はインタビュー後半で話があらぬほうへ飛びます。ひと一倍「考える」まるが「考えないで判断する」ことで悩むという話。スポーツを志す者には普遍的な話題でしょうが、赤裸々な悩みだけに真実味があって面白いです。ぜひ最後までご一読を。



ーーーグライダーにはどんな食事を持ち込んでいるの?

水分のほかにワンフライトで持ち込むものはこんな感じ(写真上をご参照)。右から
・ゼリー状の食品(味の素・アミノバイタル ゼリー)2袋
・スティック状食品(大塚製薬・SOYJOY)2袋
・ガム(ロッテ・キシリトール)
・携帯ミニトイレ

ーーーさすがにお箸やスプーンで食べるようなものはないね

うん。携行に便利で食べやすくて消化しやすいものを選んでる。もちろん、右手は基本的に操縦桿を握っているから、できるだけ片手で扱えるようなものがいい。

ーーー選んだ理由を教えてくれる?
   アミノバイタルは水分補給のインタビューでも出てきたね

アミノバイタルはナトリウムの補給ができるスポーツ飲料として、別途チューブ付きのボトルに入れて積んでるけど、これはゼリー状の食品。ナトリウムはもちろん、スポーツ時に大切なアミノ酸が補給できる。スポーツ飲料と大きく違うのはカロリーかな。ひと袋100g で約100kcal のエネルギーが補給できる。疲労回復にもいいし、マラソンランナーが使っていることを真似てみたよ。実はチームリーダーの赤石がマラソン好きで「スポーツは科学です!」って常日頃から言われているんだ(笑)。


アミノバイタル ゼリー の栄養成分








ーーーカロリーメイトじゃなくてSOYJOY派なんだね

SOYJOYはカロリーメイトと同じ大塚製薬の食品。どちらも食品表示としての名称は「菓子」だけど違いは原材料。カロリーメイトは小麦粉がベース。SOYJOYは大豆粉がベース。

カロリーメイトがビタミンやミネラル、タンパク質、脂質、糖質といった多くの栄養素をらバランスよくとり揃え「食事」としても耐えうる製品としているのに対し、SOYJOYはあくまで大豆にフィーチャーした食品。「食事のつなぎ」や「ちょっと小腹が空いた時」に楽しむような位置づけになっている。

SOYJOY(ストロベリー味)の栄養成分







カロリーメイト(フルーツ味)の栄養成分







まあ言ってみればカロリーメイトは栄養バランス第一のスペック主義。SOYJOYはもう少し美味しさや楽しさを追求した感じ。味のバリエーションもSOYJOYのほうが多く、僕も味や食感でコイツを選んでる。好きなものを食べて気分転換することも大切だからね。

ーーー上空で摂取するカロリーはどのくらい?

SYJOYのストロベリー味はひと袋で133kcal。機内にはこれを2袋、アミノバイタルのゼリーを2袋持ち込むから、合計460kcalくらいかな。オニギリ1個のカロリーが150〜200kcal くらいだから、飛び上がってからもオニギリを2〜3個食べてる感じ。

ーーー上空ではどんなタイミングで食べているの?

アミノバイタル、SOYJOYを1時間ごとに補給してる。水分補給と同じで「お腹が減ってから食べる」では遅いんだ。空腹を感じた時はもう血糖値下がっているワケで、そこから補給しても血糖値が戻るまでに時間がかかってしまうからね。エネルギーが切れる前に補給する、ので、飛び続けるとカロリー取り過ぎで太る(笑)

ーーーポーランドで買い揃えたの?

ヨーロッパじゃ売ってないみたい。いつも日本から持ち込んでるよ。昔は現地で調達できるもので試してみていたのだけど、なかなか良いものが無くて。悩みの種は、競技が2週間あるのでバカにならないくらいの重さになること。それに、今まではルフトハンザはエコノミークラスでも最大 23kg の手荷物をふたつ持ち込むことができたけど来シーズンはどのエアラインも無料受託荷物のルールが各社で統一されて、制限が 23kg ひとつになるんだ。これは結構イタイね。

味の素のアミノバイタルも大塚製薬のSOJOYも欧州で扱ってくれないかな。人気出ると思うんだけど。ゼリー系食品はあまり見かけないからね。

ーーーガムも積んでるんだね?

これは集中力を高めるためだよ。アゴの筋肉を動かすことで脳への血液の循環が促進されるって言うでしょ。ドライバーの眠気防止とか。緊張感を和らげるのにも役立つしね。

ーーーこれキシリトールガムだけど、噛みすぎてお腹緩くなったりしない?

…どういうこと??

ーーーおっと! まるでも知らないことがあるんだね
   製品の注意書きを見たことない?
   「一度に多量に食べると体質によりお腹がゆるくなることがあります」
   とか書いてあるよ。
   僕は以前、知らずに仕事中噛みまくっててトイレによく通ってた
   
知らんかった…。歯にいいからと思って選んでたけど。ガムは確かに連続して幾つも噛むことがあるので対策を考えよう。

ーーー簡易トイレもあるね

トイレも食事と同じで、貯めてからではなく、余裕のあるうちにこまめに済ませてしまってる。大切な判断を迫られるような場面や、高度が低くなってしまった時にガマンしきれなくなったらもう最悪。成績はもちろん、命にも関わってくるからね。

年齢とともに変化することもあるよ。昔は前日に飲み過ぎたりして飛行中にトイレが我慢できなくなる、なんてことは2週間の競技日程中1日くらいしかなかったんだ。でも最近は水を控えめにしていても上空では頻繁にトイレしたくなるようになった。だから最近は簡易トイレを3つ積むようにしている。

ーーーなるほど
   でも水分補給にしろ機内食にしろ、いろいろ計算して実行してるんだね
   まるは昔から「考える」パイロットだったからなあ

そりゃそうだよ。ヨーロッパの強豪を相手の真剣勝負だから最低限、メンタル面やフィジカル面のケアでおくれを取るワケにはいかないからね。何事もロジカルに考えて実践して行く必要がある。

でもヨーロッパ選手権に参戦して「考える」ことについてちょっと考えさせられた。人間、考えていたらそれだけ反応が遅くなる。人は大脳の新皮質で考え、動物的な判断は旧皮質で行っている。でも旧皮質のほうがスピードに優れていてその差は0.2秒もあるという。

だから新皮質で考えた新しい動きを旧皮質にプログラムして、旧皮質だけで動けるようにすることが大切…。これはサッカー元日本代表の岡田監督の受け売りなんだけど、僕は上空でまだまだ悩んで決断していることが多いんじゃないかと思うんだ。

もうひとつ、女性ダイバーの二木あいさんが深く潜るときは思考せず、脳の動きをなるべく止めることで、酸素消費量を減らした活動ができる、っていう話をされていた。突き詰めれば旧皮質だけである程度動けてしまうっていうことだよね。


そんな話を耳にするにつけ、「今の自分は考えすぎているんじゃないか」「もっと考えずに動けるように変わることが必要なんじゃないか」と思うようになってきた。昔はもっと考えずに飛べていた気がする。

ーーーははあ。考えずに動ければその分タイムを短縮できると

うん。グライダーは頭脳戦だよね。刻々と変わる気象条件とその日のタスクを照らし合わせながら最も効率的な飛び方を判断していなければいけない。でも大局的な作戦や判断も大事だけど、一瞬一瞬の小さな判断の積み重ねも大事。考えすぎて判断が遅れるほど、状況が悪化してタイムも加速度的に悪化していくことが多い

ーーー考えずに判断できるフライトってどんなイメージなんだろうね?
   サッカーではボールをパスされた瞬間に次へ動いているとか
   素人でも分かりやすくイメージできるけど

残念ながらまだそのレベルまで達することは出来てない(笑)、でも、良いパイロットのフライトトレースを見ていると全く迷いが無い。(もちろん10日もフライトすると1日くらいは迷っている日はあるんだけど)。

実際の競技ではどの機体をマークすべきか、どの雲を使ってどのルートでどれだけ攻めればいいのか、地形は? 風は? などなど、判断すべきことは沢山あるけど、それらを考え込まずにサッと判断できるようになるといいな。

ーーーなるほどね。考える丸山から、考えずに判断できる丸山への進化か
   その壁は学生時代もあったはずだよ。僕は覚えている
   だって地上では誰よりも努力していたのに、ソロフライトが本当に遅かったもの
   不器用だったよねえ 教え子の学生達には言えないけど(笑)
   でもその壁を越える度に大きく進化してきたはず

そうだなあ。どうやったら克服できるかなぁ。どんなトレーニングを課していくか、また色々「地上で」考えてみるよ。上空で考えずに済むようにね。


 というワケで飲み物、食べ物シリーズはこれで一旦終了です。みなさんはフライト中、 あるいはスポーツ中の水分&栄養補給にどんな工夫をされていますか? 色んなご意見をお伺いしたいです。ぜひぜひコメントをくださいね。

2013/09/16

2013ヨーロッパ選手権日記 移動日・準備日・開会式 (7/2 - 7/5)


  • 7/2
    • クルー福崎さんがいつも通り広島から新幹線で前日移動、丸山家に前泊。このパターンもすでに4回目
  • 7/3
    • いつもの LH 711 9:45 成田発。
    • フランクフルト経由で17:20 ワルシャワ着。今回は機体の遅延も無く順調なフライト。フランクフルトは前線通過で雨でしたが、ワルシャワは抜けるような青空でした。
    • ワルシャワ空港は大きさ的には伊丹空港くらい?首都空港にしては小ぶりな空港。立て替え中でしたが大部分は綺麗になっています。
    • 空港の中でロシア製ヘリコプターを発見!Mil-8 ?
    • 空港で機体を借りるオーナーさんのご友人と待ち合わせ。
      ワルシャワ空港の駐車場。駐車されているスペースは赤いLEDがついていて、わかりやすくなっています
    • 今回お借りする車でオーナーさんのオフィスまで連れて行ってもらいました。
    • ワルシャワ市内は渋滞多数。丁度平日の夕方のラッシュ時間帯だった為と思います。経済発展の割に古い町のようで通りの大きさが狭い、環状線を建設中のようでした。効いたところではポーランド中、隣国からも出稼ぎ労働者が多く、平日働いて、週末は地方に帰るケースが多いそうです。そのため、税金を払っていないことも問題になっているとのことでした。
    • オーナーさんの会社はランドローバーの販売代理店をやっているそうです。大通りからちょっと奥に入ったところでした。変わったローバーがたくさんおいてあります。

      軍用だか警察用車両のようです
    • 最初の打ち合わせではここから20分くらいのオーナーさんが普段飛ばれている飛行場にトレーラーを取りに行く打ち合わせだったのですが、トレーラーをここに持ってきてくれていましたので、このままトレーラーを繋いで出発。親切なオーナーさんのご友人が高速道路の入り口まで先導してくれました。
    • 高速道路は出来たばかりの新しい道路。走りやすいのですが、看板も無く、サービスエリアも無く、料金所もありません。
    • 2時間 くらい走ったところで初日の宿に到着。高速道路沿いで宿を探したのですが、高速道路自体が建設されたばかりのため、周辺の商業施設もまだそれほど建設が進んでいないようでした。google map の衛星写真にも写っていない、何も無い草原の真ん中にあるホテルですが、それもそのはずで大きなプールが併設された最近建設されたホテルでした。英語webページは作っているところが多いのですが、予約システムを ASP で使っているのが多く、予約ページがポーランド語しか無いところが多く困りました。。予約は booking.com を使うと同じ料金で英語のページから予約できて便利でした。
    • 到着がちょっと遅れてしまい、レストランがクローズしてしまったのですが、お願いして快くサンドイッチとスープを出してもらえ感激!
      親切なホテルの受付のおねーさんと。
  • 7/4
    • 朝食後8:00 に移動開始。一般道ですが快適なドライブで9:30 には滑空場に到着
    • 早速オーナーのアダムさんと機体を組立、取り扱いレクチャーを受けて引き取り完了
    • 上空は1800m くらいの積雲良好コンディションで3h AAT のタスクが設定されていましたが、到着日はまずは体を現地に慣らすために準備日にあてています
    • 13:00  レンタルハウスの受け取り
      オーナーのRomana さんはポーランド語、ドイツ語しかできないので、通訳で手伝ってくれた Joanna と
    • 14:00  買い物 このあたりは4月に下見済でしたのでスムーズに進みました
    • 17:00  係留
    • 夜は早速自宅で夕食
  • 7/5
    • 最終準備日、夕方から開会式も予定されています。天候は朝は雨、8:00 出発予定でしたが焦らず1時間ほど休憩して、9:00 出発
    • 出発時にアクシデント。雨上がりの外階段を滑り落ちて腰を強打。物損は奇跡的にプロッター1本でした。それほどの痛みでは無かったので、そのまま滑空場へ。あとで大変なことに。。
      この階段を滑り落ちました。。
    • 一応ブリーフィングも行われましたが期待できない天気
      前線の影響で期待薄
      明日(今日初日day1)の予想図。高気圧が勢力を増してきて好天になりそうです。
    • 機体セットアップ実施。日本から持ち込みの GPS 、GPSの電源配線、カメラ、水筒等をセットして調整完了。日本の同型機で試してあったのでスムーズに完了
    • 機体重量計測実施。本番ではグリッドへの移動中に計測するので、ターポリンをかけたパターンとはがしたパターンの2パターンでの計測が必要とのこと。計測時にテールドーリーが壊れるアクシデント発生!地元クラブのおじさんが修理してくれました!感謝!
    • 機体書類登録、曳航チケット購入(このあたりでスタッフの女性がどこにいっても美人な事に気づく)
    • 事務手続きをすませてようやく15:30 すぎにテストフライト。1h弱のテストフライトを行いました。重心位置がちょっと後ろすぎたので500g ほどテールの重量を軽減することに。エンジンの再始動テストも実施して始動性を確認。PDA がエンジン計器の邪魔になるのでエンジン操作時にはPDAを取り外した方が良いことが分かりました。
    • 17:00 から市内の広場で開会式。機体の片付けが遅れてあわてて合流。
      街の中心部には何処の街にもマーケット広場みたいなのがあります。
    • 国名ABC順に入場行進。
    • 日本は Japonia になるようです
    • 来賓ご挨拶。何処の国も来賓の挨拶は長いものと決まっています。
    • 出し物。これも大抵楽団、ダンスが多いです。
    • Kawa 様による選手宣誓。
    • 退場後進
    • 何故か広場の裏手では青空エアロバイク教室が開かれていました。
    • 開会式で立っていたためか、次第に腰痛が発生、家に帰ってみてみたところ腰が引けるくらいの大きな青タンが。。痛みで仰向けに寝れませんので横を向かないと寝れません。明日飛べるのやら。。出たとこ勝負行くしか無いので、明日の朝起きてみてどうなるか、

2013/09/08

グライダーと食事① 〜 まるの機内食を突撃取材 〜

欧州選手権の競技直前。空を見上げ、作戦を練りながら昼食を採る丸山。

 さて今回は機内食の話です。機内食って言ってもフライトアテンダントが運んできてくれるものじゃないですよ。時には5時間6時間も飛び続けるようなグライダーパイロットの栄養補給の話です。

 具体的には7月の欧州選手権でまるが機内に持ち込んでいた食料をベースにインタビューしてあります。前回の「フライト中の水分補給と熱中症」と併せて読んでいただけると嬉しいです。

 ちなみに、グライダーの大会では気象条件のいいタイミングに競技を行うので1日の流れにある程度ルーチンがあります。欧州選手権の時の流れを食事時間を中心にご紹介しますと

 06時         :起床
 07時           :朝食
 08時          :滑空場へ出発
 10時45分頃     :パイロット昼食
 11時             :曳航開始
 13時半           :地上班昼食
 17時〜18時頃 :競技終了・撤収・宿泊所へ
 20時頃           :夕食
 22時頃           :パイロット就寝

こんな感じです。そして今回お話するのは競技開始直前の昼食とフライト中の栄養補給に関することです。さあ、まるはどんな食事でスタミナを維持しているのでしょう?(河村)

①フライト直前編

ーーーお昼ご飯は必ずおにぎりだね。何かこだわりがあるの?

うん。サンドイッチも試したけど、腹持ちの良さからおにぎりにしてる。カーボ・ローディングだよ。飛行中にエネルギー切れを起こしてはいけないからね。最近、海外を転戦するスポーツ選手で炊飯器持参の人が多いよね。テニスの伊達公子さんや杉山愛さんしかり、ゴルフの宮里美香さんもそうだよね。

ーーーカーボ・ローディングって何?

あ、ごめんごめん。スポーツ好きの人なら聞いたことあると思うんだけど、直訳すると「炭水化物を体に詰め込む」って意味だよ。具体的にはコチラのサイトを読んでもらったほうが早いかな。要はフライト中に必要なグリコーゲンを採ってるわけなんだけど。

ーーー素朴な疑問だけど、そんなに体力を消耗するの?

そうだね! でもどちらかと言えばフィジカルで体力を消耗すると言うよりは、判断をし続けるので、脳を使い続けているって言うことかな。グライダーは刻々と変わる天気の中で、常に体のセンサーをフルに活用させつつ、その時々で最良の判断をひとりで下し続けなければいけないんだ。一度飛び立ったら、降りるまで常に、エブリタイム判断力を試され続けるって言っても過言じゃあないんだ。まあサッカーでもそうだとは思うけど…。グライダーの場合それが3〜5時間休憩なしに続くんだ。飛び上がってからスタートをコールするまで2時間くらい粘ることもあるので、下手をすると6、7時間飛び続けることだってある。

グライダーは究極的には頭脳戦。でも実際には精神面に大きく左右される競技なんだ。だから、それを支える「体」がベストの状態に維持されていなきゃいけない。それに、頭を使ったらお腹が減るってホントだよ!


ーーーなるほど。じゃあ、そのお米の調達はどうしていたの?

米は日本から持ち込みだよ。海外のものは炊いた直後はいいんだけど、おにぎりにして時間が経った後のおいしさでは日本のお米にかなわない(笑)。お米は佐渡の米。ただ、全てのお米を持って行くのは重いので現地での夕食用にはショートライスを探すけどね。ポーランドは TESCO のスーパーマーケットで sushi rice が売っていたよ。初めての場所に到着したときはまずスーパーで short rice を探してる。

ーーーどのくらい炊くの?

グランドクルーのざっきー(福崎さん)とふたりだけで過ごしていた前半は朝昼分として2.5合炊いてたよ。そのうち僕がフライト前におにぎりとして食べていたのは1.2合くらいかな。レギュラーサイズの三角おにぎりを3つ。必ず海苔を巻いて食べてた。

ーーー炊飯ジャーじゃなく、お鍋で炊いているよね?

うん。炊飯ジャーを日本から持って行くのは重いし。それに慣れちゃえばお鍋で炊くのは簡単。(昔は日本の炊飯器+220V変換トランスを持って行っていました)ただし電気コンロよりもガスコンロの方が温度調節が簡単。焦がさず上手に炊けるよ。ちなみに、しゃもじとサランラップは日本から持ち込み。海外のサランラップは品質が悪いからね。旭化成さん、海外で売ったら絶対売れますよ!
なので必ず宿もキッチン付きのところを探してます。

ーーーへええ。旭化成の人は知ってるのかなぁ。
   でも実際炊いてくれたご飯美味しかったよ。コツ教えて!

1. 10分でも良いので、必ず水につける。30分つけると美味しくなる。
2. 水は手のひらよりちょっと高いくらいの水位まで。ミネラルウオーターで。
3. 最初は強火、強すぎると焦げる。沸騰したら最弱火まで弱めて12分、iphone のタイマーが活躍(以前はそのためにキッチンタイマーを持って行っていました)。
4. 12分経ったらガスを消してさらに12分蒸らす。
電気コンロの場合は強火->弱火 のところですぐに温度が下がらないので焦がしてしまう。ちょっと早めに弱める。蒸らすときも切った後にコンロの上に置いておくと余熱で焦げるので、コンロからどかす。

ーーーなるほどー。ありがとう。でもやっぱりニッポンのお米で作るおにぎりは偉大だね!


 というわけで、今回はフライト直前の昼食についてまとめてみました。次回はフライト中の栄養補給と、避けては通れない「トイレ」の話です。お楽しみに!(河村)