2017/11/4 - 10の7日間でナミビア Kiripotib 飛行場で開催された Flying with the champions のキャンプに参加し、世界チャンピオンレベルのコーチとのソアリングトレーニングを実施してきました。
キャンプ前に設定した目標、目標に対する結果
- チャンピオンのコーチングによる飛行技術向上
- クライム
- 弱いコンディション中でのより良いクライム
- 強いコンディション中での更に強いリフトコアの選択(強いところで安定して上がっているつもりが急にずれる、ブローのような吹き上げで突然姿勢が崩れる)
- → コントロールがやはりとても丁寧。バンク深すぎても良くない。
- コース選択
- 一面の積雲時のコース選択。以前ほどは迷わなくなってきているが、細部を良くしたい
- →
- グライド
- ドルフィン プッシュプルの最適化。苦手のハイスピードコンディションの克服
- → speed commandをもっと活用する、とはいえ、追いかけすぎない。
- チャンピオンの考え方の吸収
- → とにかく全部試す。
キャンプを通じての気づき
・チャンピオンは左右上をよく見てFresh Cu を探している(やはり、私は一度決めるとその雲だけをみてしまっていて、近傍のFresh Cu に目が行かなくなる。常に Fresh Cu を意識する)
・210km/h ではやはり体が硬くなって、トリムだけで飛べるのに、右手に力が入っている。どんなときもトリムで飛んで、リラックスして感じる
・ブルーエリアのグライド時、より小さいな空の変化、傾きの変化に気を遣う。
・Speed commander を使って速度設定、とはいえ、速度を下げすぎない(maru の傾向として速度を下げすぎる)。speed commander で飛ぶことになれていない(やっぱり頭の中が box speed になっている)ので、speed commander を追いかけすぎてしまう(speed command の音を大きめに設定して気がつかせる)。まだリフトに入る前に減速しすぎている。(通り過ぎないようにの意識が強すぎると思う)
・コース選択、迷ったら upwind 側の雲を使う
・deviation(オフトラック)するか、しないか。コンディションが弱ければdeviationする、強ければまっすぐ行く。とにかくいろいろ試してみる。
・雲を最後までサーチする(まだまだ足りない)
・かっ飛び、から前方が悪くなってきた、時に、ペース減速(今までだったらスキップしていたリフトで回るかどうか)。減速できなくて「次がある、次がある」で行ってしまう。ブルーエリアが接近してきたら減速
・Big Cu は良いところを探すのは難しい。small thin Cu の方が探すのが簡単
・プラスエリアに入ったらスピードダウン
・グライドからリフティングしてきたら、もっと感じる、寄せる。「速度ダウンしなければ」、で頭が一杯になっている。速度セット、トリムセット、で右手を緩めて、体全身で感じるようにしよう
・グライドからターンへ、十分な減速をしてからターンしよう(「ターンしなきゃ」、で減速を忘れている)
・旋回時に呼吸が止まっている
・バンクが深すぎると言われました。もうちょっとバンクを緩めて、速度を抜いた方が良いとのこと。
・キャンプ週の後半は30分づつコーチと交代で、集中して自分のフライトをする時間と、コーチのフライトをみる時間、にしてみました。集中しすぎていて、かなり頭が疲れています。
・ファイナルグライドについて
最後の上昇率を Mc でセットして出る
・この4つのE(L/D)を見比べる
reqE thE
tskE E
reqE : Required glide ratio to target ターゲットへの必要L/D
E : The current glide ratio calculated over 3 minutes. Total altitude is taken into account and distance is calculated over one point. (直近3分の L/D)
thE: Theoretical glide ratio for given MacCready and head/tail wind. (当該Mc、風での論理的 L/D)
tskE : tskE shows the required glide ratio to task finish.(タスクフィニッシュまでのL/D)
参考までに更にもう一つ
Th.E : The thermal to thermal glide ratio. Calculated from last thermal exit to current thermal entry altitude. Total altitude is taken into account and distance is calculated over one point. サーマル間のL/D
Mc 1.3 + 200m が多くの場合のルール
Th.E : The thermal to thermal glide ratio. Calculated from last thermal exit to current thermal entry altitude. Total altitude is taken into account and distance is calculated over one point. サーマル間のL/D
・グライド中に Netto の数字をみる(20秒平均で出る)
not only in front of me, top of me, use all sense
feel the air
try to correct, little bit
see netto vario
・LX9000 の Flap Tape は結構便利
Ronald とのフライトでのアドバイス
最終日はコーチの方が変わり、Ronald Termaat さんにお願いしました。
最終日コーチしていただいた Ronald さんとセルフィー |
プリフライトブリーフィング
サーマル旋回半径 80 km/h と 120km/h で倍違う
速度が異なると、センターをずらしたつもりが逆になる
バリオはエネルギーを示す
E = 1/2 mv2 + mgh
速度が変わるとエネルギーは2乗で聞いてくる
高度変化はリニアに聞いてくる
速度一定でエネルギーが増えると言うことは高度が上がったと言うこと
速度は一定に飛ぶ。
フライト後ブリーフィング
リフトエンター時のピッチアップが過大すぎる
グライド中に速度を抜きすぎている(Ronald の場合、180km/h を切らない)
センタリングは出来ている
リフトが +5 → +3 に落ちてきてちゃんと離れられている
サーマルが来たときにリラックスする
fresh cu (メインの雲の手前の)を使う(メインCuを見過ぎていて手前の fresh Cu を見逃している)
Ronald の教え方
手は出さない、コメントのみ、やらせてくれる、褒める、自信つく
手は出さない、コメントのみ、やらせてくれる、褒める、自信つく
デブリーフィングを録音したのは良かった。(Wolfgang との話しも録音すれば良かった)
おかげでなんとなく、次に自分でもやれる気がしてきた。早く来年春のフライトでSCをもっと活用したグライドからのセンタリングを試してみたくなった。
(異なるコーチに見てもらうことの重要性も感じました。通常はこのキャンプは週半ばでコーチを変更します)
(異なるコーチに見てもらうことの重要性も感じました。通常はこのキャンプは週半ばでコーチを変更します)
その他
・細かいことをきっちりやるのが苦手な性格が出てしまう(例、速度セット、キャノピーカバーのゴムをかける、など)
・前後席独立の EDS を使っています。個人の好みに応じてフローを調整出来る。使っていて急に EDS の調子が悪くなることもある。(吸い込みでエラーが出て、交換)
・ロストバッケージしていた荷物が到着したことで、置き鍼を試してみた。体の硬くなっていたところが急速に和らいだ。置き鍼最高!!(羽生弓弦選手も使っているらしいです)
フライトログ
・11/10 428km
ナミビア紹介
・南緯23度、東経17度のあたり。時差はヨーロッパと同じあたり。夏時間で日本とは -7時間。
・ドイツ、オランダから直行便あり。ヨーロッパの人には非常に来やすい場所になっています。日本からだとヨーロッパで乗り換えるか、中東で乗り換えるか、南アフリカで乗り換えるか。いずれにせよ35時間くらいかかります。
・オペレーションシーズンは11月はじめから1月中旬まで。最盛期は11月4週目からクリスマスくらいまでだそうです。
6時過ぎに日の出、19:15くらいに日没。1000km飛べる予報の日は10:30離陸、11:00スタート。19:00 過ぎにフィニッシュで8時間 平均速度 125km/h。日没後15分まで飛行可能。
・本当に良い日は平均150km/h で 1250kmタスク
・フライトエリアは東西 500km、南北 500km くらい。隣国ボツワナも良いときは行きます。空域は FL195 まで Glass-G 、一部 TMZ があります。
大陸全体が heat low |
・本当に良い日は平均150km/h で 1250kmタスク
・フライトエリアは東西 500km、南北 500km くらい。隣国ボツワナも良いときは行きます。空域は FL195 まで Glass-G 、一部 TMZ があります。
・気温はmax36度くらい。湿度は13%。18%とかの湿度でサンダーストームが増える
・東風の日が熱いアフリカ大陸を風が渡ってきて乾燥してトップが高くなる
・標高が1400m くらいの台地。雲底は良いときはサーマル・コンバージェンスで5000 - 5500m。高いところを飛ぶので TAS が出る。その分 Vne は低下する。
・オーバースピードでの空中分解が多いようで、ベイルアウトの座学がある。SPOT(衛星位置発信器)を必ず体につけて飛べ(機体に入れていた人が居て、空中分解して機体は見つかったけどベイルアウトした本人が見つかったのは半日後だった)、飛び降りた後に地上で飲むための水を持って飛び降りろ(これを入れておくポケットも頂きました)など。
・アウトランディングは農業用のAir Strip、ドライレイク(乾燥湖、Pan と呼んでいる。窪地の意味。Bitterwaser は大きな Pan の中にある)。原野へは降りられません。
・グライダーオペレーションをしている飛行場は4カ所、最も大きい Bitterwasser は30機、60人くらいの大所帯になるらしいです。
・私が行った Kiripotib は小さめ、それでもArcusM x 9、HpH304 Shark x 2, Antares23E x 2で最大20人くらい。普通のツーリストも訪れる場所です。冬は天体観測とかでも旅行客が来るそうです。
滑空場全景 |
・現地人(ドイツ系ナミビア人)がオペレーションしている飛行場付きコテージでオーストリア人がオペレーションしています。(第一次大戦前はドイツ領、その後、イギリス領、南アフリカの一部)。サファリリゾートで生活・食事は快適そのもの。着陸するとラインボーイが冷たい飲み物を持ってきます。
プール |
・滑走路は 1800m で東西。平行して道路が走っていて、エンジン停止時のアウトランディングも安全。標高が高い、かつ最大離陸重量、高温、で上がるので離陸まで 1000m以上かかる。横風用に南北の滑走路も有り。
東西のメイン滑走路、平行して道路がエンジンフェイル時の不時着場(北から南に向かって撮影) |
よほど強い背風で無い限りは基本東向きにランディング。太陽を背にして降りる。head sunshine だと見えないため。日没時に西に向かって降りる必要があるときは日没を待ってから降りる(日没後15分まで飛行可能) |
・積雲が多いが、ブルーの時もあります。予報は topmeteo の予報で、かなり精度高く当たります(積雲・ブルーの分布、トップ予報、リフトの強さなど)。topmeteo の予報で 1000km day は10:30スタートです。
1000km予報の日 全面エリア赤色予報 |
seeyou に topmeteo と重ねる機能があります。良いエリアでタスクを組み、タスクシート上で想定平均速度、TP通過時間、フィニッシュ予想タイムも表示されるので、タスクシートを印刷して、シート上の時間とにらめっこしながら飛びます |
・予報が弱い日(500 - 700km程度)はブレークスルーする時間が遅い、(14:00スタート)、終わりが覆われてしまって早い、などがあります。それでも平均速度は120km/h は出ます。
・空港まで迎えが来て、飛行場まで送迎付きなので、現地の生活、治安などはほとんど分からないまま(現地現金への換金不要)。生活は全部コテージの中で済みます。
・スケジュール
6:30 起床、ストレッチと前日の反省。
8:00 朝食
9:00 全体ブリーフィング
10:00 離陸準備(1000kmの日)
10:30 離陸(1000kmの日)
19:00 着陸
19:30 夕食
・11:00 top 3000m でスタート(対地1600m)、12:00過ぎまでは top 3000m のまま、対地1000m - 1600m でクルーズ。12:00 過ぎれば大体ブレークスルーして、4000m, 5000m とトップがあがる。アウトランディングはそれほど想定していない(高いところを飛ぶ)。マクレディーのスピードコマンド通りにVne まで出してかっ飛ばす。17:30 を過ぎるとリフトが弱まり始めて、18:30を過ぎるとリフトが終わるので、18:30 前に final glide (18:00前に入れる感じ)
今シーズンはオーストラリアでアーカスに2週間乗る機会があり、この記事の内容がだいぶイメージできるようになりました。
返信削除クロスカントリーがある程度できて、セルフローンチのオペレーションに慣れていて、アーカスの操縦にも慣れてる、となると、相当ハードルが上がりますが、このクレイジーな世界に行ってみたくなりました。
浅倉