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2014/08/07

TEAM MARU 写真館 【世界選手権大会Day6】

昨日8日目、2日間の競技不成立日を除き、競技Day6のブリーフィング。この日は300キロオーバーのRT(レーシング・タスク)が設定されました。
http://www.wgc2014.hb.pl/wyniki/18m/483_18m_tsk.htm
いままでのタスクと違って旋回点がピンポイントの座標に設定されているのがわかります。ピンポイントといっても正しくは500mの円です。僕らが学生の頃は、旋回点の外側を周りながら証明写真を撮って自分で現像したものですが今はGPSの時代。機体が500mの円内に入ったら、フライトコンピュータがピピッと教えてくれます。そして帰投後にトラックデータを主催者にメールで送ればいいのです。逆にいうと、GPSデータが採れていなければジ・エンドです。


































滑走路の東側の小麦畑が刈り取られていました。身長くらいはあろうかという巨大なロールが点在しているので、帰投時に高度が足りなくなった時着陸しよう、という気にはならないと思いますが、少なくともカメラマンが入れるようになりました。このロールがなくなれば緊急時の場外着陸場として使えるようになります。その状態になった小麦畑も多く、アウトランディング事情は日本とは比べものになりません。


























12時に曳航が始まりました。やはり水バラストが重く、1000mの滑走路を使っても機体はなかなか浮きません。 


























なので、機体が離陸するときと着陸する時は滑走路エンドの生活道路にオフィシャルスタッフた立ち、通行をコントロールします。機体がいない時に「いまだ! それいけ!」と合図を出すのです。
そして滑走路エンドには注意喚起の看板があります。

























曳航機にひっぱられるのは、慣れるとウインチ上昇より楽なものですが、学生時代を思い出すと最初はなかなか上手くいかなかったものです。まっすぐ後ろをついていっているのはずなのに、目の前で曳航機が上下左右に暴れます。実際にはグライダーが暴れているのですが。世界選手権に出るような機体は練習機よりずっとクイックな操舵感で曳航中のコントロールもセンシティブなものですが、みんなさすがに上手です。


























丸山機も離陸していきました!


























丸山が上空へ上がるとクルーはチームのキャビンに戻ります。ここで丸山が発信しているトラッキングデータを当日のタスクマップの比べながらモニターしつつ、他の選手の位置もチェック。衛星画像などの気象情報と地上で得られる風向、風速、気圧データ、それに目視での滑走路周辺情報などを随時チェックしておきます。これは高見クルーと佐々木クルーの役割です。


佐々木クルー持ちこみのUSB接続拡張ディスプレイで2画面表示

































「ベースキャンプ、セブンゼロ、インフォメーション」。コンテストナンバー70の丸山機を無線で呼び出す高見クルー。ベースキャンプから上空の丸山に必要と思われる情報を流す時のセリフです。逆に丸山から依頼や質問があるときは「セブンゼロ、ベースキャンプ、リクエエスト」と前置きします。そこからは日本語です。これはオフィシャルが使う周波数ではなく、チームとして連絡のために使う周波数を使っているからです。チームマネージャーの川島さんがロングポールアンテナを立ててくださったおかげで、無線がよく届きます。今大会は地上クルーとパイロットのコミュニケーションがいつになく潤滑に、そして必要な情報を交換できるようになってきました。これが後半、実を結ぶことを期待します!




































ところがこの日、昨日の投稿でもお伝えしたように、サンダーストームの雲が150km近く離れた第1旋回点上に急速に発達。皆、1点でも多く獲得するために前へ前へと攻め続けましたが、気がつけば辺り一面に雨雲。エンジン機ですら滑空場へ帰れずにアウトランディング…というチームが続出しました。競技は大荒れに荒れたのです。滑空場からはアウトランディング機体を回収するために、ハウストレーラーを牽いたクルマが次々と出発していきました。

























そんな中、丸山からは「帰投する」という連絡が。
正直、100km近く離れた丸山機が雨雲を避けながら帰ってこれるかどうかクルーにもわからず、リーダーの判断でハウストレーラーを使うリトリブ隊が結成されました。
この頃には滑空場の吹き流しは真横を向き(風速10mほど)、空は辺り一面真っ黒になっていました。
でも、滑空場にもポツリポツリと戻ってくる機体があったのです。そして、あまりの横風の強さに、通常設定されない方角からの進入がアナウンスされていました。


























そして、クルーが心配する中、丸山の機体が無事帰ってきました。その後、機体を撤収している最中にどしゃぶりの雨が降ってきました。丸山は帰投の判断をした理由として「どうやっても第1旋回点に近づくことができず、そうこうしているうちに命の危険を感じたから」と言います。結果として、その判断によってギリギリ滑空場に帰ることができました。
この日、他の多くの機体はアウトランディングしたのです。でも、彼らのうち何割かは判断を誤ったと思いますが、多くはアウトランディング覚悟で距離を伸ばす選択肢を採ったのです。なんたって、1点でも大切な勝負ですから。
彼らにとってアウトランディングは日常茶飯事であり、場外着陸しても翌日には当たり前のように競技に復帰します。南アフリカのチームなどは、普段からサンダーストームに鍛えられており、このようなコンディションには逆に強いのだそうです。それは、この地で飛ぶポーランド勢もしかりです。
果たして丸山はサンダーストームの中、攻め続けてアウトランディングしたほうがよかったのでしょうか? 丸山は「あそこで引き返してはいけなかったかも知れない」と悩みます。借り物の機体を傷つけずに帰したい、という気持ちも働いたことでしょう。
皆さんはどう考えますか? 我々日本勢はこの極悪コンディションに打ち勝つべく、どう訓練したらいいのでしょう?
ともかく我々クルーは、丸山が無事戻ってきてくれて本当によかったと思っています。



























機体が帰ってきたらすぐにバラしました。ちょうど前後半クルーの入れ替え時期で人数が多かったことも幸いしました。最後、ハウストレーラーに胴体をしまおうか、という時にどしゃぶりの雨が降り出しました。パイロットもクルーも間一髪です。




























文・写真 河村

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