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2016/05/14

2016/4/30 wave で長野へトライ

武尊山 FL170
2016/4/30 は wave day となりました。とはいっても冬型が緩み、blipmap 予想では南のwaveは弱く、wave が強いのは蔵王から北になり、那須、安達太良のwaveがそれほど強くありません。

仙台の 500hpa wave 予想

角田のSさんは角田離陸で1000kmトライ長野からはIさんが1000kmトライ板倉からはTさんが1000kmトライで離陸。こちらも9時離陸で東北へ行くことにしました。(トラックログ)

Livetrack でTさんの状況を確認していましたが、予想通り風が弱く、当初wave in に苦労しているとの無線レポートが入り、当方は50km以上の長距離曳航をリクエストして離陸しました。板倉真北30km 鹿沼市のアビームあたりで8000ftから曳航中にローターエリアを通過せずにそのままwave in したので思っていたよりは早めに離脱することに。
離脱ポイントでそのまま wave in

ここはいつもコンバージェンスコンディションからローターを経てwaveへ這い上がるポイントの一つです。朝の早い時間だとほとんどローターも無く曳航のままスムーズにwave in しました。代表的なwaveエントリーポイントなので要チェックです。
リリースポイントから北を見る 中央が男体山 画面右側の雲がローターライン この前面(左側、西側)で上昇

上昇後南西方向を見る。写真中央の谷が足尾の谷 谷の上にwaveがあり、ローターラインが南へつながっている

しかしwave には入ったものの、安定して上がる感じがありません。

wave が安定する条件は
1. 風速が上層に行くほど増加している
2. 風向がそろっている
3. 山に対しての風向がずれていない
4. 安定層が上下にある
があげられますが、おそらく1. がそろっていない、いわゆるブレーキングウエーブ状態になっているようです(上層の風速の低下により、波頭が崩れる状態)

waveの安定した場所を探して一波前に出ます。(この移動場所もwave の弱くなったところで、前に出るポイントの一つです。要チェック!)
waveも弱いので失高1000ftほどで一波前にでれました。ようやくwaveが安定してきて、男体山にも14,000 ft位に低いキャップクラウドが形成されます、同時に雲量がすごい勢いで増えていきます。
一波前へ いつものポイント

急速に増えていく雲量

「これは気圧の谷の通過では?」 予報では今日は高気圧に覆われる予報で、谷の通過は予報されていませんでしたが、どうも予報と異なるようです。南のwaveは弱かった予報だったのが一転、安定してきたのも納得がいきます。(気圧の谷接近時のサインは風速の増加、湿り気の増加による雲量の増加、視程悪化、不安定度増大で対流の活発化です)

衛星画像を確認してみましょう。

worldview の衛星画像


撮影時間がよく分からないのですが、雲の感じからはおそらく9:00-10:00頃と思われます。那須のwaveは良好、仙台以北のwaveも良好なことが分かります。
まだ気圧の谷の接近前です。日本海に気圧の谷に伴う雲があるのが分かります。


ひまわり8号の衛星写真動画でみてみます。思った通り、10:00過ぎに日本海からの雲が長野県、栃木県北部、福島県に流入しているのがわかります。(ちなみに滑走路でスマホで衛星写真を見たいときはこのページがお勧めです。フライトサービスから衛星写真の状況を無線レポートする際に活用してみてください)




日本海からの雲の流入がよく分かります。
11:00頃から栃木県北部から福島県が最初に覆われ、
その後新潟県、長野県北部が覆われます。上空から見ていたのと同じ状況でした。
脊梁山脈(谷川岳~)ががんばってくれていましたが、14:00頃にはそこも乗り越えて雲が流入しています。


waveは1.5m/s程度と弱く、FL140 までしかあがりません。(風速が弱いと、waveの上限が低いことが多いです。また、上昇の風速の低下によるブレーキングwaveも考えられます)。東京コントロールへコンタクト(エアラインパイロットのNさんに聞かれていたようです)。まずはFL120-FL200で猪苗代湖までをルート設定して北上を試みますが、那須方面はまったくギャップがあいておらず、オントップ状態です。
高原山から那須方面、ギャップがほとんど見えなくあきらめることに。

高原の裏もオントップ。高原山の表に出てみてもまったくフェーンギャップが見当たらず。やっぱりオントップ。一度戻って、もう一度上げ直しながら再度プランニングすることに

高原山まで進出して那須方面の様子を見ましたが、まったくギャップが見えない状態なので、これは北上は無理そうなのであきらめ、一度男体山に戻ってルートを再検討。ルート変更して、まだ雲量の少ない西を目指すことにしました。2007年にUさんが榛名山経由でwaveで草津方面に向かったフライトからヒントを得て、沼田、武尊、月夜野(谷川岳)、草津とwaveを前に乗り継いで長野盆地に出て、北アルプスwaveで帰ってくるプランです。blipmap がサービスを開始する前から予想していたウエーブクロスカントリールートで、2011/5/2 のフライトで一度沼田waveまでは試しており、武尊山にもwaveがでていることまでは確認できていました。blipmap でも沼田、武尊、月夜野と弱い予報ですがwaveが出る予報になっており、いつか試したいと思っていたルートです。(新ルート開拓はワクワクします)
関東から甲信越のwave予報
LX9000の風はFL160で305度100km/hを指していますが、前進の状況を見ると風向は同じで、風速は60-70km/hの風です。(waveの中では電子コンパスが無いと風が正確に出ません。電子コンパスは無線機、スピーカーなどの電磁場に影響されやすく、誤差の少ないインストール場所を探索中でまだ装備できていません)
このくらいの風速だと、沈下の弱いところを選べばwaveを前に移動することも可能になります。

男体山のキャップクラウド


足尾の谷を南下して沼田waveへ向かう

中禅寺湖から南西、足尾の谷の上にかかるキャップクラウド 珍しい。まずはこの前面を南下

日光waveで上昇した後は足尾の谷のwaveを南下し、waveの弱くなったところ=山の低いところ=wave雲が消えているところ、で一波前のwaveに移動します。FL170で前に出て、FL140で12km前の沼田waveに届きました。
沼田waveへの移動 山の低くなったところ = wave の弱いところ = 沈下も弱いところで移動
予想通り、沼田wave で上昇 北から南を臨む、奥の町は沼田 レンズ雲の前面で上昇



次に目指すのはこの武尊上空のウエーブ(沼田waveから北西をみています)ですが、狙うのは左の雲の無いところ(沈下を避けるため)ので、一度waveを南下してwaveの弱いところで前進します
上の写真の左側(南側)この中央のギャップ部分を狙って進み、ギャップに届いたら右の雲の風上に出るプランです。右のキャップクラウドが上の写真の武尊のキャップクラウド

再度FL160まであげて移動開始、10km先の武尊waveでFL135で到着、予想通りの武尊waveで上げ直します。



武尊waveへ移動 同じく南下して wave の弱いところ(山の低いところ)で前進しているのが分かると思います


武尊山 スキー場は左がたんばら、中央は川場スキー場?

武尊山上空で、たんばらスキーパーク、川場スキー場が見え、置くには奥利根湖、矢木沢ダムが雲の下に見えます。

武尊wave

奥利根湖の谷に谷川岳の第一波があるはずですが、雲量が多すぎて第一波は閉じてしまっているようですので、第2波と思われるギャップへ移動します。FL160でスタート、月夜野の町を越え、榛名山の北でFL150で次のwave(草津wave第3波)に到着しました。
奥が谷川岳 雲量多い

草津wave第3波


雲をみて、ギャップの前面に出るように飛びますが、まさにblipmapの通りにwaveがでます。最近は blipmap を朝印刷して、コックピット内でmoving map と blipmapを見比べて、雲で最終判断をしてコースを判断していますが、予想通りのコースです。

草津wave第2波へ


FL185まで上昇して雲の少ないところでさらに一波前に、FL150でついに草津waveの第二波に出ました。FL170まで再上昇して、草津の第一波への移動を考えます、先ほどまで閉じていた第一波のギャップが開いてきています。とはいえ、ということはまたすぐにギャップが閉じる可能性が高いということです。

ここでギャップに閉じられると、山岳地にオントップで閉じ込められることになり、非常に危険な状態になります。また、長野方面もほとんどギャップがあいている場所が見えず、長野ローカルで飛行しているパイロットに聞いてみてもギャップがほとんど開いていないとのレポートでした。(Iさん、ありがとうございます!)
Tom Bradbury Saiplane & Gliding より

閉じようとするギャップ

北アルプスをあきらめ、唯一ギャップの開いている佐久方面へ移動します。佐久への移動時に飛行したルートは碓氷峠の尾根から発生する弱いウエーブラインでした。
碓氷峠の東の弱いwaveで南下して、佐久のギャップに到達、八ヶ岳waveのフェーンギャップ

碓氷峠のよわいwaveで南下
佐久のフェーンギャップ

八ヶ岳風下の2段階wave
八ヶ岳風下のキャップクラウド 八ヶ岳の風下のギャップが空いていれば南下を試みた出来たのですが、waveが強すぎて(湿り気も多すぎて)ギャップが閉じていく傾向

佐久盆地は日本一の晴天率と言われるだけあり、ギャップが大きく開いていました。八ヶ岳の東側には相当大きなキャップクラウドも出来ていました。八ヶ岳の東から、南アルプスにつながるwaveを探索したのですが、雲量が多く、南アルプスまで空いているギャップが見つけられず、さらに佐久のギャップも狭くなり始めたので雲の下に降下し、関東平野に戻りました。

降下の際もダイブは可能であれば使いたくない(翼にクラックを作りたくない)、高高度でVne も低下しているので速度もそれほど出せない、状況ですので、速度に気をつけながら高速旋回でギャップの開いている内に降下することが必要になります。



衛星写真をみるとこのあとも雲量は増える一方だったので、エスケープして正解でした。




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