2021年シーズンは世界選手権18mクラスは延期では無く中止になりました。2021年は当初Covid-19 の影響が続いており、ワクチン接種も遅れていたことから、2020年に続き渡欧してのトレーニングは困難かと諦めていました。
2021年5月下旬のEU理事会の勧告から、6月初旬よりヨーロッパ各国での日本からの入国が許可されるようになりました。
春先にオリンピックスポーツのアスリートの方々が、海外での国際大会での帰国前にPCR検査で陽性なことが分かり、帰国できない状態になっていることを見ていたので、渡欧の最低条件はワクチン接種と思っていました。日本国内でのワクチン接種は6月に始まりました。私の居住地域では幸い接種券の配布は6月下旬に配布されたのですが、6月下旬は自衛隊大規模接種センターの予約が全く取れませんでした。あきらめずに日々情報を集めたていたところ、7月に入ってから自治体での個別接種が受けられるようになり、既往症枠で集団接種も受けられることから、7月中の2回接種完了が見えてきました。グライダー競技会開催カレンダーを確認し、今シーズン最後となるポーランドLesznoで行われる競技会への参加の可能性を考えだし、7月中旬から参加のための準備を開始しました。
ヨーロッパ各国への入国要件について
ヨーロッパ各国への入国の条件はめまぐるしく変わりました。
外務省の海外安全ホームページのたびレジに渡航予定を登録しておくと、各国の日本大使館からのアップデートが配信され、集約された情報は各国の日本大使館ホームページに公開されます。大会開催地、機体借用のための移動を考えると数カ国の入国要件をクリアする必要があり、これらの情報をもとに渡欧条件を調査しました。
当初はヨーロッパの国々も入国にPCR検査が必要だったり、入国後の隔離期間が必要な国がありましたので、日本出国直前にPCR検査を受けられるところを探していました。競技会の準備を進めた結果、今回はオーストリアに入国して航空身体検査と車の借用、ドイツで機体借用、開催地のポーランドへ移動、のルートをとることになったので、日本出国時以外にもEU内でも国境を渡る際には現地で事前にPCRテストを受けることを検討していたのですが、幸いなことに7/26から開始されたワクチンパスポートの対象国12カ国にこの3カ国が含まれることが分かり、オーストリア、ポーランドの日本大使館にと言わせたところ、ワクチンの2回接種の証明があれば入国、国間の移動の際もPCR検査は不要(オーストリア、ポーランド)、ワクチン接種後2週間が経過していれば隔離も不要(ポーランド)なことが分かりました。ドイツについては大使館ホームページの表記でワクチン接種証明書あれば同様であることが分かりましたので、大使館には直接は問い合わせしませんでした。ワクチンパスポートは発行まで通常は2週間のところ、ワクチン接種地の保健所に相談したところ、出国が近いことから早期の発行を対応頂け、助かりました。
帰国要件について
通常外交は相互運用になるそうです。ワクチンパスポート締結国間の移動は隔離が不要になるので、日本帰国時もワクチンパスポートがあれば入国可能・隔離不要の同条件になるはずなのですが、日本帰国時は日本国の水際対策で日本国政府指定の方式での出国前PCR検査、日本国独自フォーマットでの陰性証明、帰国後の2週間の隔離が必要になります。(相互運用が確保できていないため、フランスなどはワクチンパスポートを締結していないようです。)
ヨーロッパ在住者の方のtwitterの一時帰国の投稿を見ていると、日本まで来てから入国できずに出発国へ戻されることになった方、陰性証明が日本国指定フォーマットに従っていなかったため当日帰国便に乗れず、再度検査を受けて日本向け陰性証明書フォーマットを取得して翌日の便に振り替えになった方、もいらっしゃり、体験談のnote記事はとても参考になりました。ドイツでは PCR test(Japan) と日本国のフォーマットに従った陰性証明作成サービスを提供している検査機関の情報が大使館ホームページに掲載されています。これらの情報をもとに、ミュンヘン空港の検査機関にコンタクトしたところ、「日本国フォーマットの陰性証明取得には余裕を持って検査から48時間は見て欲しい(検査結果判明まで24h、陰性証明書発行まで24h)」とのことで、2日追加で現地滞在を計画しました。勤務先では既に1年半の完全なリモートワークが続いており、現地での検査結果の待機期間、帰国後の自宅隔離期間をリモートワークで対応させて頂くことで、滞在が長引いてしまう休暇日数の問題をクリアしました。
当初オーストリア・ドイツは変異株流行地域に指定されていて、帰国後3日間の指定ホテル隔離後、自宅隔離でしたが、6月末に変異株流行地域から解除され、指定ホテル隔離は無くなり、自宅隔離のみで済むようになりました。
機材準備
機体の手配にはヨーロッパのグライダーシーズン中であったため、時間を要しました。一昨年から乗り始めたJS3への完熟を進めたいと考えており、JS3をメインに探しましたが、15mクラスの世界選手権(フランスで開催中)とLeszno Cupの開催期間が重なっているため、8機ほどJS3の方にコンタクトしましたがすべて予約済みでした。AS33の方はコロナの影響で納期が半年以上遅れていてまだ機体がデリバリーされていなかったり。。。最終的にドイツの方から Ventus 3M をお借りすることができ、正式に参加を決めてエントリーシートを送ることができたのは出国一週間前でした。
その合間に現地滞在アパートの予約(2013年、2015年と滞在した快適なアパート)、航空券の手配(Covidのためか、直前にもかかわらずマイレージの枠が空いていましたのでありがたくマイレージで手配)、航空図購入、新しい機体のフライトマニュアルの確認(エンジン機なので230ページもあります。。)、チェックリストの更新、移動ルート検討、宿泊先確保(到着日は空港周辺でレイトチェックインに対応したホテル、陸送中はトレーラーを連結したまま宿泊できるサービスエリア直結のホテル)、Android用にプリペイドSIMと、iPhone用のeSIM(バックアップを兼ねて2台用意)、陸送道中のお供にAmazon Prime Video と Amazon Prime Music をAndroid端末ローカルで視聴できるようにダウンロード、トレーラーのコネクターの13pin/7pinの変換ソケット、機体借用料・セキュリティデポジットの送金、空港での長い乗り継ぎ待ち時間を安心して過ごせる空港ラウンジ利用のためのPriority Pass の更新(Amexの優待で割引)と準備を進めました。
オーストリア入りしてEASAの航空身体検査の更新を行い、牽引フック付きの車を友人からお借りしてドイツへ移動、シュンプヒルト工場でVentus3Mの受け渡し、その後900km陸送してLeszno入りします。計画通りに順調に進むことを祈っています。
オリンピック閉会式の朝、成田空港にて。台風の中、妻が送ってくれました。感謝! |
週末の休みを使って実質8日間という短期間で準備を進めてきましたので、2012年から4年間毎年通った慣れたLesznoとはいえ気になることは多くありますが、フライトの目標は「競技でのフライトを思い出して安全に楽しむこと」にしたいと思います。行動目標は2019年の目標を再確認し、実施したいと思います。
1. 判断ポイントを明確に、迷わず決める、とはいえ、決めた判断にとらわれすぎない、固執せずに判断を更新し続ける
2. 成功したら一度喜んで、その後は淡々と次へ(油断大敵)、判断をポジティブに保つ。失敗したときは切り替える
3. 高いところを飛ぶ
4. 悪条件時はリスクマネージ
5. コンディションが悪いときはとにかくフィニッシュ、諦めずにすべての方法を試す。今が良いからと安易に考えずギアチェンジ、とはいえギアを下げすぎないように
6. 失敗したときは、深呼吸して、気持ちの切り替え。あわてず、あせらず、あきらめず。
7. 前の空を見て、マクレディーを切り替える、クルーズ速度160km/h以上をキープ
8. 強い条件でのクライムの探求、ハイスピードでのコース取り
9. バグワイパーで翼をキレイに保つ