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2013/10/26

ネコでも分かるグライダー 競技タスク編その1

こんにちワ。

え? 誰かわからなない? メンバー紹介 をすぐ見るニャ!

丸山家の稼ぎ頭にしてチームのマスコット、ワサビだニャ!
以後お見知りおきを。

さて、リーダーもミュンヘンマラソンサブフォーで完走して帰ってきたし。マルの欧州選手権デイリーレポートも始まったし。そろそろアタシの出番だニャ。

マルのレポートは競技者向けのテクニカルレポート。
以前のアタシだったらチンプンカンプンだったのニャ。

そこでニャ!!

ビギナーのためにやさしく解説しましょうっていうわけニャ

というわけで第一回は競技タスクの話。
「2013ヨーロッパ選手権フライト日記 day1」でビギナーがいきなりつまずくのが「Task 380km RT」だニャ。リンク先を見てもマンボージャンボー。ワケワカランという方だけ読んでニャ。

まず、グライダーの競技そのものを簡単におさらいするニャ。
動力を持たないのにどうやって飛ぶの? って言うスペシャルビギナーはコチラを見るニャ。動画を見るだけでもなんとなく分かると思うんだニャ。

それでニャ。

みんなで競う以上、何時間浮いていられたとか、どれだけ遠くまで飛べたとか、何かを比べなきゃいけない。 そこで考え出されたのが「スピード競技」という方法。 A地点からB地点まで行くのに誰が一番速いか? それを競うわけだニャ。

実際にはスタートする飛行場に戻ってくるのが運営上一番楽。なのでスタートしたらA地点とB地点を経由して戻ってくる、っていう3角形のルートが基本だニャ。ちなみに、これが大会9日目のタスクシート。フライト前のブリーフィングで渡されるものニャ。

今夏のヨーロッパ選手権9日目のタスクシートニャ(スタンダードクラス)



よく見ると四角形(台形)。スタート/ゴール地点と合わせ4つのポイントを飛んでくるようになっている。それぞれのポイントは緯度と経度で表されていて、どの順番で飛ぶべきかも指定してある。逆回りに飛んだらグライダー同士が鉢合わせしちゃうからニャ。

一番上の飛行場をスタートして左回りに四角形を描いて戻ってくるルートだニャ

タスクシートの左上をを見るとポイントの一覧表があるニャ。これを見ると全部で366.4kmのタスクで、スタートからポイント1までが84.4kmとか、距離も読み取れるニャ。

スタート/ゴールやポイント1〜3の緯度経度や区間距離だニャ


366kmっていったらちょうど東海道本線の東京駅〜名古屋駅の距離だニャ。新幹線のぞみなら1時間45分、クルマなら4時間半、東海道線なら6時間半。ネコ脚なら…想像がつかんニャ。 地図で見ると遠いニャ〜。


大きな地図で見る

この距離を動力を持たないヒコーキが飛ぶっていうんだから、やっぱりグライダーは世界の七不思議のひとつだニャ。ちなみにこの日、トップの選手は4時間18分で帰って来た。 平均時速は 366km ÷ 4.3時間 だから、だいたい時速85kmで飛んで来たことになるニャ。

もうお分かりだニャ?

この平均時速が一番速い選手がエライのニャ。
いかに上手く上昇気流を見つけて、いかに早く、いかに高く舞い上がって、いかに速く移動するか。グライダーが「スピード競技」と言われるワケが分かったかニャ?

ちなみに「Task 380km RT」の RT「レーシング・タスク」の略。今回のように与えられた地点を順番に回ってくる方式で、日本ではこのタスクが主流ニャ。

これに対して AAT 「アサインド・エリア・タスク」っていう、Maruが得意なタスクがあるんだけど、これはまたの機会に解説するニャ。

さあ。次回は空の上のポイントをどうやって特定するのか、「僕はA地点とB地点に行って来たよ」という行為をどう証明するのか、その辺り技術的なことを解説するニャ。

よく分かったかニャ?
感謝の印はイケメンネコの写真か、カツオ節でニャ!
またニャ〜

2013/10/19

クロスカントリーパイロットのレベルアップトレーニング

世界選手権への参加を通じてやりたいことは、このチャレンジにより得られたノウハウを日本の滑空界に知識・技術面でフィードバックして、日本のグライダーパイロットのレベルアップをすることです。クロスカントリーは出来るようになったけど、もう一段上に行きたいが越えられていない壁を簡単に超えさせることです。

  • 2013/9/21
    • トラックログ
    • Uさん同乗トレーニング
    • 夏の空気、南風。25km - のエリアのみ 積雲 5000ft。谷風でブローしているところのみがしっかりしたリフト。雲と、丘を見て、リッジでブローしているところを狙う練習
    • まだロングスパンの機体を乗り込めてないので、ロールインしたいところでしっかりロールインさせきるコントロールの練習を実施
  • 2013/10/13
    • トラックログ
    • Nさん同乗トレーニング
    • 西北西(280 deg) 強風が滑空場付近のみで吹き抜け、コンバージェンスまで曳航してエリアにイン
    • 写真は栃木市の南端あたりで北から南を見た写真。当日カメラを忘れたので、クラブ員Sさんの写真を拝借。煙の向きがオレンジ(西風)と緑(北風)で90度異なるのが分かります。オレンジから上側(南側)は西風強風エリア、下側(北側)は北風弱風エリア、境目がコンバージェンスライン
    • 秋は野焼きが多いので、煙の向きと、上空の積雲ラインを対比させて、極力ラインを意識して飛ぶ練習。(どうしても皆さん一つ先の雲しか見ていないので、3つ先の雲までのラインを意識)
    • 探り舵を減らし、無駄なGを極力かけずに、リフトの重力変化のみを感じられるような操作を心がける。
  • 2013/10/14
筑波へ向かって east band 北(奥)の方が雲底が低い。てっきり南側(手前)が雲底が低くなると思っていたのですが逆のようです。笠間の谷を風が抜けてくる風の方が湿っているようです。海が近いから?
    • トラックログ
    • ウエザーデータはハング日本代表選手の方のブログから引用させていただきました。
    • Yさん同乗トレーニング
    • 朝は上層雲に覆われて良くない空だが、離陸準備が整った頃から東20km に積雲発生。弱い時間帯に離陸、弱い中でアクティブな東の空気にコネクト、予想4000ft Cu なので、東へターゲットを定める。そこからは東へ、東へ。
    • 前に出ながら雲の判断練習。雲のどのポイントを狙うか?(サニーサイド、形、厚み、ステップ、崩れる兆候、対流の連続性(ライン))
    • 自信がなくなると減速してしまうので判断、判断、決めたら前へ、迷いが見えたら後ろから叱咤激励
    • デモを交えながらラインの判断の判断のポイント、フラップ操作のポイントをデモ
    • スムーズな上昇を感じるために、さらにスムーズなロールインを!
    • 筑波山頂を3500ftでターン。まだ前席が機体に慣れきっていないので、遠出より確実なリフトラインでの練習に切り替え。思川沿いの南北30kmのコンバージェンスラインでフラップトレーニング
    • 最後は滑空場付近まで東から海陸風前線が入ってくる。この日も煙が多い。利根川沿いは東風が先に抜けてしまい、前線が西に抜けてしまって置いて行かれたので、渡良瀬川沿いに戻って滑空場上空に差し掛かってきた前線で再度上昇。羽生の南に飛行船の秘密基地を発見。
羽生滑空場の上あたりから西の空。このあたりは東風(緑)奥は北風(オレンジ)上空の雲(赤線)がコンバージェンス

2013/10/08

2013ヨーロッパ選手権フライト日記 day1 (7/6)


  • Task 380km RT
  • Results 18位 79.5 km/h 677 points
  • Meteo
  • Briefing
  • 朝起きてみると腰の痛みはかなりあるものの、なんとか動かせないことも無い。座席に座ってみるとなんとかなりそうなのでとりあえず飛んでみることに。重たいものはなるべく持たないように。
  • 離陸の際の地面との振動が痛いのなんの。
14:00 の予想図。前線が抜けて高気圧のエリアに
エマグラム。800hpa のところに強い逆転層
積雲高度予報 14:00 1500m が max その後は雲底が下がる。17:00 を過ぎると 1m/s 程度まで弱くなる予報なので 17:00 頃までにはフィニッシュしたい。風は 330 20-25 kph 程度
明日はさらに前線が遠ざかり高気圧の勢力が強くなる予報。予報を見ているとこのイギリスを中心に持つ高気圧がしばらく勢力を維持する予報に。
  • グリッド時間と曳航開始時間
  • この日のグリッド順
    スタンダードクラスの5列目最終列 なので離陸後すぐにスタートゲートがオープンするので早めにスタート体勢に入れることが必要。
    11:30 Grid, 12:00 曳航開始、3クラス曳航するのにおよそ1時間なので12:40頃に離陸、スタートゲートオープンは13:00 くらい。タスクは 380km なので、遅くても13:30 にはスタート、17:00 ファイナルグライドで17:20 にフィニッシュしたい。(avg 100km/h 弱、95 km/hくらい想定)
  • グリッドにて
    離陸前12:00 頃の西側のタスク方向の空。右が北。奥の方ほど雲がしっかりしている。上の雲の形から風は北より。雨上がりの後の空なので、空気はウェットな感じ
  • 1st leg
    13:20 1400m 積雲コンディションで良好。JS とスタート。1st TP は西へ 100km ほど。
  • 1st leg 後半
    7分後スタートのKAWA様にすごい勢いでおいて行かれる。100km 飛んで7分違い。トータルでは57分差(97 kph と 77 kph)

  • 2nd leg 前半
    14:30 1st TP をターンしたところ。1st leg に比べると積雲が減ってきた。5機くらいで対地400m から再度クライム。2nd leg は南東に 90km くらい。
  • 2nd leg 中盤
    さらに積雲が減ってくるが、10km おきくらいには届く。強いのがつかめず700-1100mで上がって前に出る。他機と分かれてしまい一人旅
  • 2nd leg 後半
    2nd TP が近づいてきた。大きな湖群が見えるその先。この湖のエリアはコンディションが良いことが多い。
  • 3rd leg 前半
    旋回点に機体が集まってきたので再度他の機体に合流。3rd leg は北西に 80km 西のエリアは積雲が少ないようだ
  • 3rd leg 中盤 積雲が減ってくる
    16:00 くらい。積雲の間隔は開いてきている
  • 3rd leg 中盤 積雲の下まで来るとそれなりに
    間隔は開いてしまうが雲の下まで来るとそれなりに。でも1m/s しかヒットできず、他機は1.3-1.5m/s をヒットしている。このあたりが差です。東西の川に直行する360度方向の風がトリガーして積雲が発生しています。
  • 4th leg の前半は弱かったが写真が無い
    • 20m クラスの機体も一緒になり、リフトを探すマーカーとしては良いが、逆に弱いリフトにルアーされてしまう場面も多かった。弱くて、先が良いと判断されるならもっと積極的にでることが必要。(とはいえ夕方は下げると上がりづらいので、そのバランスがジレンマ)
  • 4th leg 後半 ファイナルグライドに入れるまでは弱かったが、ファイナルグライドから先は17:50 なのにまだ良好なコンディション
    東のエリアは全般的に良かったようです。17:50 にファイナルグライドに入れたところ。
  • 全般的にクライムが悪い。Discus2 がまだ G29 や LS8 の用にハンドリングし切れてない。メイン 80リッター(wing loading 49 kg / m^2)  + テール 3リッター(cg = xx mm) でテールが重い感じがするので、明日はテールを 2.5 に減らしてみる
  • kawa 様との比較(左 Kawa 様 右 maru)
  • 講評
    • 全体的にクルーズバンドが100m高い(下限、上限とも)
    • 弱いリフトで途中で止まってしまっているケースが少ない、トップまで上がりきっている(とうに弱くなった 3rd leg が顕著に違う)
    • 平均上昇率が 0.3m/s 違う
    • 2nd leg はテールウインドになるため、平均速度が上がるはずだが上がっていない
    • インターサーマルのグライドスピードが 10k/h 違う、mean L/D が 25% も違う。。
    • 最も差が大きいのは 3rd leg
  • 380 km 4+46 79.5 km/h 677 point 18位相当 トップの Kawa 様が 2位より 10% も早いので、これを外れ値と考えると 75% の得点率となる。ハンドリングできていない割にはなんとか踏みとどまっている成績。判断は悪くないのだが、より強い上がりの実現が必要。
  • 600m まで3回下げてしまっていて、速度が出ない。
  • 他の機体の直下で同じだけの上昇率が出せない。
  • 着陸が 18:09 片付けて帰宅が 20:00 になり、反省の時間が取れないのが少人数オペレーションの課題。当日の内にログとスコア(daily, total)を子細に確認する時間を取ることで翌日に生かせるが、確認不足で中日の休み期間まで確認が出来なかった。
  • あとからログを確認して分かったこと
    • total 4位になった Y1 はこの日のスコアが悪かったのでこのあとのマークから漏れた
    • チームフライトをしているのはポーランド、ドイツ、ベルギー、チェコ。チームフライトしている方が発見が容易